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神の子は世界を巡る《緋弾編》
第W章 月華の叫び
第021弾 「花畑」

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2006年 5月 13歳


今現在、鋼也はリサに手を引かれつつオランダの街の中を歩いていた。
周りの物珍し風景に目を惹かれつつ、鋼也は今にも踊り出しそうなくらい、機嫌の良いリサに質問を投げかける。

「なあ、リサ。俺達って何処に向かってるんだ?」

質問された少女は、花の綻ぶ様な笑顔でそれに答えた。

「ふふ、秘密ですよご主人様。着いてからのお楽しみと、言うやつです」

「そ、じゃあ....それなりに期待しとくか」

リサが鋼也の質問に答えずに、はぐらかす、と言う事は在る程度の理由が在る。
そう考えた彼は、少女が見せてくれるで、あろう異国の情景に期待を膨らませ、また別の会話を始めた。


彼が少女に連れて来られた場所。
それは地平線まで続く、一面のチューリップ畑だった。
花達は元気よく咲き誇り、風がそよぐ、それに応じて古風な「風車小屋」が回る、思わず息を飲んでしまう......幻想的な風景。

「ご主人様、どうですか?私の祖国は」

少女は、息を飲んで目を輝かせている己が主に、愛おしそうに問いかける。

「ああ――想像以上だ......世界って物はこんなにも綺麗だったんだな」

前世でも今世でも今の今まで、知らなかった美しさに触れ、感嘆の念をこぼす。
それと同時に、この美しさを知る事も出来ずに、無残に死んで行った仲間達の事を思い出し、彼の胸は"ズキリ"と痛んだ.....。


その後も、少女と少年はオランダの名所巡り......端的に言ってデートを楽しんだ。

「んっと、そろそろか」

彼はこれからの出来事が、心底面倒だといわんばかりに、顔を曇らせそう言う。

「はい、ご主人様。お怪我の無い様に」

少女は少年の手を握り、心配そうな顔をする。

「ん、じゃ。行ってきます」

少女を安心させる様に、頭を撫で少年は消えて行った........。

「はい、行ってらっしゃいませ........」

少女は月夜に浮かぶ満月を見やげ寂しそうに、そう言った。


☆★☆★


「はぁーい、鵺っちょ。死ぬ準備はOK?」

突然、空間を切り裂く様に、彼女の前に現れた死神はそう告げた。

「.......ッチ、もうイ・ウーの構成員が来たじょ。しかも、死神とは....今日は大凶だっじょ....」

「大凶なんて、選ばれし者の証だろ?」

彼は妖怪を"嘲笑い"ながら、魔眼を発動し意識を切り替える。

「さぁ―――殺してやるよ」

その、一言と共に怪物達の死闘の幕が開いた。


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