禁断の果実編
第79話 花は咲いた
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ヘルヘイムの蔓は石畳を突き破って何十本も生え、月花たちを襲った。
『レデュエめ! よケイなマねヲ!』
――鎧武も月花も知らない。ユグドラシル・タワーからデェムシュの戦いを観ていたレデュエが、面白半分に植物をけしかけたなど。
幾重にも襲い来る蔓を、鎧武に届く前に、月花は空を旋回して切り裂いた。シャラン、シャラン、と羽根のヒマワリの花びらが鳴る。
『たあ!? わ、わわっ』
捌き切れなかった蔓が月花の右手と左足を捕まえた。しかしその蔓は、鎧武がキウイ撃輪をフリスビーのように投げて切り落とした。
『ありがとっ』
『気をつけて!』
鎧武は再び赤いオーバーロードとの交戦に戻る。
そうだ。今の月花の役目は鎧武を赤いオーバーロードとの戦いに専念させること。そのために、蔦の侵攻は月花だけで食い止めるのだ。
ヒマワリフェザーの全てを伸ばした。ヒマワリフェザーは縦横無尽に、向かって来る蔓を次々と切り刻む。空を蹴って回ると、足の羽根が蔓を切り裂いた。
蔓の勢いが徐々に落ちてくる。それを見計らって、月花は眼下の戦いをふり返る。
すでに勝負は決まりつつあった。鎧武がバナスピアで突き、ドリノコで抉り、ブドウ龍砲で撃ち、大橙丸で斬る。
赤いオーバーロードは剣先を上にし、柄を両手で掴んだ。そこに火球が生まれる兆し。
(あ! これ、前ににげた時使ったのだ)
赤いオーバーロードの逃走を知っていたからこそ気づいた。月花は急ぎ赤いオーバーロードの上から背後に回り、
『にがさない』
背中のヒマワリフェザーを赤いオーバーロードに全て巻きつけ、拘束した。
《 パージ 》
ヒマワリフェザーがアーマーから切り離される。月花は即座に赤いオーバーロードから飛びのいた。
呼びかけるまでもなかった。すでに鎧武は火縄大橙DJ銃に無双セイバーを射し、大剣にエネルギーをチャージし終えていた。刀身から上がるエネルギーたるや、巨大な火柱と見紛うほどだ。
『紘汰くん! 行っちゃえぇええええッッ!!』
《 極オーレ 》
『せいやああああッッ!!』
鎧武の×字斬りが赤いオーバーロードに炸裂した。
その膨大なソニックブームによって、赤いオーバーロードは爆散した。
勝ったのだ。
オーバーロードに。あの強大な敵に。
葛葉紘汰が勝ったのだ。
『や、ったあ!』
咲は変身を解除した。倒れそうになるのを気合で堪え、鎧武に飛びついた。ヒマワリアームズの長時間酷使で体は限界だったが、喜びのほうが勝った。さながら長い長い試合を勝ち抜いたサッカー選手のように。
「やった、やったよ、紘汰くん!」
『ああ、やれたんだ。俺たちみんな
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ