実は苦手でした、かも
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「 ────あら? 雷の音……? そういえば向こうの空、黒い雲広がってるわね……。早く宿屋に行きましょ、濡れるなんてごめんだわ!」
レフィアに促され、とある町の宿屋に着いて少しすると雨が降り出して来た。雷の音も、段々と近づいているらしい。
「うほ〜、雷だぁ! 何かおれ、興奮してきたっ」
「はぁ? 何よルーネス、雷に興奮するなんてどーゆう神経してるのよ!」
「ルーネスは昔から、雷好きみたいなんだ。ウル村でもよく、雷鳴って雨降る中1人外ではしゃぎ回ってた事、何度もあるよ……」
アルクゥが呆れたようにレフィアに話す。
「あんたそれ、雷に自分から撃たれに行くようなものじゃない。今まで何ともなかったわけ?」
「平気へーき! 結構近くに落ちたことあっても、今まで直接落ちてきた事ねーし!」
ルーネスは飄々としているが、イングズは押し黙っている。彼が寡黙気味なのは、今に始まった事ではないが………
「おーい、イングズ? さっきから何黙って────」
ピカッ、ズガアァン………
「 ひゃあ ?! 」
レフィアが、女の子らしい小さな悲鳴を上げて身を竦める。
「おっほ〜、かなり近いな! ってかレフィア、雷嫌いか? 女子って感じだよなぁ、いかにも!」
「う……うるさいわね! ちょっと苦手ってだけよっ。雷好きなんて、あんたの神経がどーかしてるわ……ひゃっ、また光った……?!」
「うわぁ、稲光も音も雨も、激しくなってきたね。僕も、ちょっと怖くなってきた……っ」
自然とレフィアとアルクゥの距離が近くなり、寄り添うかのようになった。
「うおぉ! 何かおれ、居ても立ってもいられなくなってきた……! 外出よーっと!!」
「よ、よせ……! いくら今までお前に雷が落ちた事がないとはいえ、これからもそうとは限らないだろう、やめておくんだッ」
そこでようやくイングズが口を開き、本当に外へ出て行こうとするルーネスの片腕を掴んで引き止める。……その手は、かなり力が込もっていた。
「何だよ、そんな強く掴まなくてもいいだろ? ……分かったよ、やめとくよ今回はっ」
「あぁもう……、雷好きなルーネスには付き合ってらんないわ! い、行きましょアルクゥ。雷治まるまで、一緒の部屋にいましょっ」
「え……!? あ、う……うん、いいよ」
レフィアは、若干恥ずかし気なアルクゥを引き連れ先に宿代を払い、二人は宛がわれた部屋に行ってしまった。
「あの二人、いつからそんな仲なったんだ……? まぁいいや! おれ達も空いてる部屋に────」
ビカッ、ズドガアァン……
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