第四章
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な真心が夏実にも伝わっていた。温かい心が彼女を包もうとしているのがわかった。今までだったらそれを受け入れることはなかったが今は違っていた。彼女も微笑んでいた。
それから数日経って退院の日となった。病院で退院の手続きをすることになった。
「ここにサインをするんですね」
「はい」
看護婦さんは退院の為の書類を彼女に出していた。もうベッドから起き上がってテーブルに座ってサインをしていた。
「ここに御名前を」
「わかったわ。それじゃあ」
夏実はそこにサインをする。その名前は。
「田所夏実、と」
名前を呟きながらサインをした。もう苗字は久保ではなかった。
「それで宜しいのですね」
「はい」
夏実はにこりと答えた。間違いはないと言った。
「わかりました。それでは」
「これで。帰られるんですよね」
彼女は最後に看護婦さんに尋ねた。
「お父さんとお母さんのところに」
「そうですよ。今度は気をつけて下さいね。御二人本当に心配してらしたから」
「わかりました」
にこりと笑った。そして夏実は帰るのであった。お母さんと、新しいお父さんのところに。
新しいお父さん 完
2006・7・9
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