十一話
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月は瞬く間に涼州を手に入れ、新たに配下となった珀の力を借り、そこに良政を敷き、人心を抑え、本領の并州と合わせて莫大な資産と強大な軍事力を手に入れた。
その間、他の領内では賊の跋扈、諸侯の小競り合いが相次ぎ、治安の悪化が深刻な問題となっていた。更に、連合の都での狼藉の為、荒地となった都の住民が溢れ、流民ができた。
月はそれらを出来る限り領内に迎え入れ、戸籍を与え、職を用意した。
一方でリウイらは軍の調練にも力を入れ兵の錬度を高めたり、新技術の開発等に多忙な日々を送った。
そんな中多忙の日々の合間を割いて、リウイは城内の泉の前で一人佇んでいた。
「皆、出て来い。ここなら他の目を気にしなくていい」
リウイがそう言って合図をだすと三つの光が出て、リウイの前に跪いた。
泉の中から少女の形をした生き物が現れ、その隣の山からは土の体の生物が現れ、その反対の荒れ地からは二つの頭を持つ獣が現れた。
「こうやってお前達と話すのは久しぶりだな、何か変わりあったか」
「いえ、変わりありません。私はご主人様と同じ様にこの世界を楽しんでいます」
「私はこの世界に馴染めません。リウイ様の命とは言え、こそこそと隠れる様にしなければなりませんので」
「…」
「そうか、すまないな。ファラシス、ジール。今しばらく我慢してくれ。」
「御意」
「…」
そう言ってリウイはしばらく使い魔と話しをして過ごした。
別の日
リウイとパイモン、詠が城内の一室で話しをしていた。
「袁紹の動きが活発になって来たわ、まず幽州を手に入れるつもりみたい。その後はおそらくこちらを狙って来るわ」
「そうだな、情報では袁紹は河北四州を手に入れるのが目的らしい。その為にどうあっても并州が欲しいだろう」
「そうね、あそこまで欲望に忠実だとかえってわかりやすいわ」
「しかし、いかに袁紹でも曹操に受けた軍の損害は甚大だろう。よく動く気になったな」
「それが、敗残兵や無理やり徴兵した民衆で軍を編成した様です…」
その言葉を聞き、リウイと詠はため息をついた。
「…馬鹿とは思っていたけど、そこまでとは思わなかったわ」
「そうだな。まあ、その方がこちらに都合がいい」
「それでも公孫賛との兵力差は四倍近く。公孫賛の負けは決まった様なものね」
「そうだな、そうして幽州を手に入れた後、こちらに向かって来るだろう、そこを返り討ちにして逆に連中の領地を手に入れる」
「その為にも万全の体制を整えるわ」
「そうだな」
演習場
リウイと詠はその足で演習場に顔を出した
「翠と蒲公英の調子はどう?」
「報告だと上手く馴染んでいる様だ、それと、これはファーミシルスの意見だが彼女達は今後、霞と共に騎兵団を指揮させた方がいいだろう」
「そうね、馴染みない歩兵を動かすより
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