2ndA‘s編
第八話〜長き一日の終わり〜
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棒に伝えた。
『彼らが魔導師のリンカーコアを狙っているのであれば、少なくともこの世界に五人の該当者がいる』
『マスター、なのは様、フェイト様、アルフ様、リンディ様ですか?』
『うん。それに彼らは僕を追わなければならない理由も押し付けたから、しばらくすれば向こうから出てくると思うよ?』
『?』
最後のライのセリフを理解出来なかった蒼月であったが、何の根拠もなしにそんなことを言うようなマスターではないと認識しているため、深く追求することはしなかった。
『とにかく、向こうが姿を現さない限り出来ることは少ない。管理局側が下手に藪をつつくことがなければ、シグナムさん達の方との会談もできるはずだから、それまでは大人しくこの世界に留まるよ』
それで話はおしまいだと言う意味を込めて、ライは一方的に念話を打ち切る。
そんな自分の行動が子供じみていて、その情けなさにまた気持ちが沈みそうになる。
座っているベンチの背もたれに身を預けると、余り高くない背もたれの淵の部分に後頭部を乗せる形となり、自然と夜空を見上げる体勢になる。
「…………」
ぼんやりと開かれている瞳には、欠けた月の姿が映る。
月は満月でもないのにその光が強く、ライにはそれがどこか自分を責め立てているように感じた。その錯覚から逃げるようなことはせず、纏めて飲み込もうとした時、特徴的な緑色の髪とその髪の持ち主の泣き顔がライの脳裏に過ぎった。
八神家・リビング
シャマルの言葉で部屋に沈黙が降りる。
そこに人がいないわけではない。そのリビングには二人の女性と一匹の狼が確かに存在する。しかし、彼らは何を口にすべきかわからないのだ。
敵である人物が、知り得るはずのない自分たちの主のことを知っている。
ならば、自分たちのいるこの家に踏み込まれる前に、主を連れて逃げ出すべきか?
その場にいる二人と一匹はそう考えるが、そんなことをすれば主の今の幸せを壊すことになる。
彼らは今、主であるはやてが幸せであると感じている“今”を守るために行動を起こしたのだ。
それを守るために、罪を背負い、騎士であることの誇りも、守るべき誓いも捨てここまで来たのである。
それらを全て踏みにじるようなことはできないと、その考えを切って捨てる。
――――考えろっ、考えろっ、考えろっ、考えろ!――――
何かに祈るようにそんなことを想い続ける。
焦りを無理矢理ねじ伏せどうにか最善を引き出そうとする中、ザフィーラは口を開く。
「未だ、此処に誰も来ていないということは、この男は管理局に主のことを言っていない可能性がある」
その言葉にハッとするシグナムとシャマル。
可能性とザフィーラは言ったが、それは半ば確信し
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