2ndA‘s編
第八話〜長き一日の終わり〜
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果はあまりなかったのか、顔色が優れることはなかったが。
「……あのね、私たちは翻訳用の魔法を使っているでしょう?」
「「?」」
いきなりの確認に二人はシャマルの本意を測りかねる。しかし、彼女はヴォルケンリッターの参謀であるために、無駄なことは言わないだろうと思い、素直に頷いて答える二人であった。
「そのせいで馴染みが薄いのだけれど、この国の日本語には子音と母音というものがあるの」
そうしてシャマルが二人に見えやすいように、先ほど映し出した画像を移動させる。
そこに映し出されていたのは、この日本で小学生が使うような平仮名とローマ字の一覧表。
「基本的にこの国の言葉には五つの母音と複数の子音を組み合わせて言葉を使い分けているの」
かなり穿った解釈ではあったが、彼女はわかりやすさ優先で誤解覚悟の説明をする。
「それで、どんな言葉でも口の動かし方で大まかにだけど母音がどれかの特定をできるの」
彼女はデバイスに命じ、画像の中の平仮名とローマ字の『あ・い・う・え・お』と『a・i・u・e・o』が隣り合うように操作する。
「それで、さっきの映像の彼の口の動きは母音で、『あ・あ・い・あ・あ・え』だったの」
「……?それが―――」
先を促したシグナムの前に再び、青年の映像が映し出される。
「彼は最初の三文字と後の三文字の間に一泊挟んでから口を動かしたの」
画像の言葉がピックアップされ、母音が『あ』と『い』と『え』のものが残り、それ以外が消える。
「最初は何か二つの単語を言っているのかとも思ったのだけど、それにしては間が短かった。ならそれは、何かの名称のように三文字と三文字とを組み合わせて意味のある言葉ということ。それと、口パクでこっちにわかるように言葉を送ってきたとして、それは管理局に知られたくなかった可能性があるということ」
そこでシグナムとザフィーラは画像の青年を訝しそうに見る。これまでは口の動きにしか注意がいかなかったが、彼の目にはどこか気付いてもらえることを祈るようなものが垣間見えた。
「私たちが知っていて、管理局が知らない言葉。そして母音が『あ・あ・い・あ・あ・え』である名前」
「「…………!!」
まとめる様に言いながら、シャマルは画像の文字を指で押していく。
ここまで言ったことで、シグナムとザフィーラはソレに気付く。
「彼は私たちの主を知っている可能性がある」
彼女が押した文字は『やがみはやて』と言う六文字を表示していた。
海鳴市・市街地
夜風が身体と思考を冷やしていく。
その事を心地よく感じながらも、ライは先ほどのことをひどく後悔しそうになる。
「…………なにが“残されることの辛
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