第一話〜流れ着く世界〜
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いのか?」
『いえ、ここは地球……ですよね?ここに来てからは……』
先程まで、マークに会えたことで弛緩していたトビアの表情に影が指す。
「そうか……」
一瞬沈黙が降りるが、アプロディアからの報告でそれも長くは続かなかった。
『ここから、三十キロ程離れた位置で戦闘が行われているようです』
「何?」
『え、アプロディアさん?!』
マークは報告の内容に、トビアはアプロディアの存在に驚いていた。
「今のところ、アテがあるのはそこだけか」
『マークさんどういうことです?どうしてアプロディアさんが――』
どこに向かえばいいのかも分からない状況から、少なくとも一つの指針ができたことにマークは取り敢えず安堵する。人間、何も把握できずに呆然とするよりも、どんな進展の仕方でも行動をしていたほうが安心するのだ。
トビアは状況を正確に把握するよりも先に行動を起こしていたようだが。
「その説明は後で本人にしてもらえ。それよりも今はその戦闘が起きているポイントに向かうぞ」
『りょ、了解です』
そう言うとマークは一旦通信を切る。
そして機体を操作し、アプロディアから指示された位置に向けて機体のスラスターを吹かした。
「アプロディア、どうしてこの機体のセンサー範囲外の戦闘を探知した?」
マークは先ほどのアプロディアからの報告で引っかかった部分を尋ねた。
マークたちの乗るモビルスーツのセンサー有効範囲は基本的に二十キロ前後である。しかし先ほどの報告ではその有効範囲外の戦闘を探知したのだ。その事実がマークにとっての引っ掛かりとなっていた。
『それは私がこの世界の衛生にハッキングをしたからです』
「この世界?ここはジェネレーションシステムが構成する世界の一つではないのか?」
『その考えはおそらく間違っています。そして、この世界にはジェネレーションシステムは存在しません』
「…………なんだと?」
このアプロディアの返答に普段から冷静なマークも動揺した。世界の移動という、おとぎ話のような現象を起こしているシステムが存在しない世界。ならば、自分たちが今存在しているこの世界はなんだというのか。その疑問をアプロディアに尋ねてみたが明確な回答は彼女も持っていなかった。
内心でそのことに対する苛立ちと不安が生まれる。だが、今行うのは目的地である戦場に向かうことであると自分を割り切り、機体のスラスターの推力を上げた。
荒野
月詠真那は苛立っていた。
コクピットの中では網膜に映り込む敵を屠るために、左右それぞれの手が掴んでいるグリップを操作する。彼女の操る真紅の武御雷はその体を敵である地球外起源生命、BATEの体液で汚していた。
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