暁 〜小説投稿サイト〜
星の輝き
第42局
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生たちが打っていたリーグ戦のような試合はものすごく疲れるんだ。1日で3〜4kg体重が減るくらいにね。そんな状態で打ってくれたからこの結果なんだよ」
「いや、それにしたって、進藤君だったね。見事な打ち回しだった。まったくつけいる隙がなかったよ」
「それでじゃ、芹澤君、隣のおじょうちゃんが打った碁も見てくれ」
「……これもまた、大した物ですね。進藤君に及ばないにしても、下手をしたら、プロ初段レベルの力があるのでは?」
「そうじゃろう。このおじょうちゃんに囲碁を教え、鍛えたのがこの進藤なんじゃよ」
「……いや、驚かされっぱなしですね。しかし、ここまでの碁を打たれたら納得できます」
「どうじゃ。芹澤君思わんかね。この進藤なら、今すぐプロになっても芹澤君と互角の戦いができると」
「思いますね。この進藤君なら今すぐリーグ入りしても不思議じゃありません。即ライバルですね」

 芹澤のこれでもかと言わんばかりのほめ言葉に、頭をかくヒカル。そしてそれを唖然として眺めるあかりの母。あまりの展開に頭がボーっとしてしまったが、次の桑原の言葉に目が光った。

「それでじゃな、緒方君、芹澤君。おぬしら、去年は対局料と賞金でどれくらい稼いだかの?」
「ええと、約2500万くらいですかね」
「私もそれくらいですね」
「2500万……」
「彼らは若手とはいえトップクラスじゃ。それくらい稼ぐ。ワシは賞金の金額が高いタイトルを取っておっての。総額で大体5000万くらいじゃ。4つのタイトルを持っておる塔矢名人なら1億近いはずじゃ」
「5000万……、1億……」
 あかりの母の目の色が変わった。
「入ったばかりの若手では普通そこまで行くのにかなりかかる。じゃが、それ以外にも、講演会やら囲碁教室やら指導碁やらで若手のプロでも年間ひっくるめて1000万近く稼ぐのは珍しい話じゃないんじゃよ」
「……実に興味深いお話ですね」
「そうじゃろう。奥さん、この進藤と言う小僧にはそれほどの将来性があるんじゃ。そしてのう、囲碁界というのは狭い世界でのう。同業者同士での結婚と言うのが結構多いんじゃな。トッププロ棋士ともなると一般人とかかわる機会も早々なくなってしまうでの。」
「なるほど、ごもっともなお話ですね」
 突然生臭い話になって唖然とする周囲をよそに、熱心に話し込むあかりの母と桑原。
「奥さん。この進藤は間違いなく稼ぐぞ。それもそう先の話ではないわい。これほどの優良物件、早々転がってはおらんぞ。こんな将来確実なやつを、どこの誰とも知らんやつに掻っ攫われてはもったいなくわないかのう?」
「まったくですね」
 
 すでに見も蓋もない話にまでなっていた。まさに獲物を狙う目でヒカルを見つめるあかり母の視線に、ヒカルは冷や汗を背中に流した。

「お宅のおじょうちゃんに
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