第42局
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もらえないかの?」
「この後ですか?特に予定はありませんからかまいませんが」
「おお、それは助かる。進藤、おじょうちゃんたちを呼んで参れ」
「あ、はい。分かりました」
−一体なんでしょうね、ヒカル?
−んー、何するつもりだろうな、こんなとこまでつれてきて。でも、なんかいやな予感がするんだよな。
ヒカルは、1階のロビーで待っていたあかりとあかりの母を呼びに走った。
「ヒカル君、いいの?こんなところに入って」
「ああ、大丈夫。桑原本因坊、プロの偉い先生が部屋を借りてくれてるんだ。ちょっとおばさんに話したいことがあるからって」
対局室に案内されたあかりの母は、見慣れぬ周りの様子におどおどとしていた。しかし、室内に先日見た顔を見つけると驚きに目を丸くした。
「お、来られたようじゃな。どうも奥さん、お初お目にかかる。ワシは桑原と言う者じゃ。プロの碁打ちをしておる。こちらにおるのが、同じプロ棋士の緒方君と芹澤君。緒方君は先日そちらに迷惑をかけてしまったようじゃな。申し訳ない」
「先日は失礼いたしました。プロ棋士の緒方と言います」
「……どうもはじめまして。プロ棋士の芹澤です」
「はぁ、どうも」
あかりの母は不審げに挨拶を交わす。あかりにそっと目をやるが、何が起こるか聞いていないあかりも軽く首を振る。
「今日は奥さん、あなたに進藤の実力を知ってもらいたくてここに来てもらったんじゃ」
「えっ!俺っ!」
「そうじゃ、進藤。おぬし、おじょうちゃんのために一肌脱ぐと申したであろう?」
「いや、それは確かにそういったけど!」
「芹澤君。おぬしはこの進藤とは初対面じゃな?」
「……ええ。初めてですね」
視線が合い、会釈を交わすヒカルと芹澤。
「こやつは進藤ヒカル。そちらのおじょうちゃんが藤崎あかり。どちらもプロを目指す子供たちじゃ。奥さん。緒方君と芹澤君は囲碁のプロの世界でもトップクラスにいる者達じゃ。芹澤君。疲れているところ申し訳ないが、進藤とそうじゃな、1手10秒の早碁を打ってもらえんかな。君にとっても決して損にはならないはずじゃ」
芹澤はヒカルをじっと見た。
「……、いいでしょう。桑原先生がそこまでおっしゃるのでしたら」
−さあ、ヒカル。あなたの力を見せてあげなさい。
−いや、でもっ!
−これはあかりのためですよ。
−いや、何で俺がここで碁を打つのがあかりのためなんだよ!
−桑原は信じるに足る者だと思いますよ。それに、私も今のヒカルがどこまで打てるのか見てみたいのですよ。この、芹澤という者も只者ではないのでしょう?
−そりゃそうさ。まさに日本のトッププロさ。でもまあ、桑原のじっちゃんがわざわざ動いてくれたんだからなぁ。ここで断るわけにも行かないか。
「ほれ、進藤、なにをしておる。
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