第七十五話 大雪の後でその六
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「ピッチャーは相変わらずだから」
「うん、ピッチャーの調子はね」
それはいいというのだ。
「というか阪神のピッチャーが悪いって」
「そうないわよね」
「阪神のピッチャーはまた違うわ」
別格といった言葉だった。
「何時でも揃ってるから」
「不思議とね」
「誰かが出ても誰かが出てくれるから」
「先発も中継ぎもね」
「抑えもね。補強が失敗しても」
そうしてもなのだ、阪神の場合はだ。
「別のピッチャーが出て来るから」
「ピッチャーはそうなのよね」
「けれど打線はね」
バッターの方はだ、肝心の。
「どんな補強してもね」
「途中でね」
「そうそう、こけてね」
そしてなのだ、これまではというと。
「駄目になるのよね」
「去年まではね」
「だからね」
「今年もなのね」
「打線次第よ」
それでどうにかなるというのだ。
「打線が今年みたいに好調だったら」
「勝てるのね」
「そう、優勝出来るわ」
そうなるというのだ。
「連覇よ」
「じゃあ打線に期待ね」
「もうね、正直ね」
景子もこのことは顔を顰めさせて言う、彼女も今は白い世界を見ているが目に映っているのは黒と黄色である。
「私も一点か二点かしから取れないで負けるってね」
「嫌よね」
「四点とってたら負ける試合が幾つあったか」
阪神の試合ではよくあったことである。
「数えきれなかったでしょ」
「去年は大抵四点以上取ってたからね」
「勝てたのよ」
「じゃあ今年も」
「打ってくれれば勝てるわ」
四点以上である。
「安定して抑えてくれる投手陣だからね」
「というか本当に阪神のピッチャーはいいんだよな」
美優は残念そうに述べた。
「どんな時でもな」
「甲子園って不思議よね」
里香も今は科学的に言わなかった。
「ピッチャーは育つのよね」
「逆に打線は駄目で」
彩夏も残念そうな口調だった。
「バランス悪いのよね」
「ピッチャー偏重っていうか」
「そうなのよね」
「去年はよかったけれど」
「今年はどうかよね」
「打ってくれたら」
「勝てるからね」
こうしたことも話したのだった、五人で。
そうしたことを話してだった、それでだった。
五人はそれぞれのクラスに戻って午後を過ごした。そして放課後になって琴乃が部室に入るとだ、宇野先輩と高見先輩がいた。
見れば先輩達は難しい顔をしていた、それで話していることは。
「雪はね」
「それはよね」
高見先輩が宇野先輩に応えていた。
「智ちゃん雪には慣れてないでしょ」
「いや、私のところは山だったから」
広島県は沿岸部以外は山が多い、山陰との境はまさに山地なのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、雪も結構あったけれど」
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