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万華鏡
第七十五話 大雪の後でその三

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「津軽とか」
「太宰治ね」
「そう、あの人の故郷も」
「凄いのよ、これが」
 実際にそうだとだ、彩夏は里香のその言葉に答えた。その津軽の雪がどういったレベルなのかということもだ。
「東北だけあって」
「やっぱりそうなのね」
「もう冬は動けなくなるから」
「秋田と一緒で」
「そう、あの辺りもね」
「それでその中でなのね」
 里香は雪を見ながら津軽のことを考えつつ彩夏と話をした。
「太宰は生まれ育ったのね」
「そうなのよね」
「太宰も津軽弁だったらしいけれど」
「津軽弁はちょっとわかりにくいわよ」
 東北独特の濁音があるがそれが特にだというのだ。
「慣れないとね」
「中々なの」
「そう、わかりにくいから」
「うちの学校に津軽から来た人いなかった?」
 ここで琴乃が言った。
「青森から来てる人」
「いるんじゃない?やっぱり」
「日本全国から集まってくる学校だから」
 景子と彩夏がすぐに言ってきた。
「それならね」
「津軽の人も」
「関西の人が多いけれど」
 これは八条学園が神戸にあるからだ、どうしても同じ関西出身者がその生徒に多くなるのだ。
「広島とか岡山の人もいるし」
「名古屋もね」
「長野の人もいるわよ」
「東京からもね」
「だからね」
「津軽も」
「いたんじゃないのか?」
 美優も首を傾げさせつつ言う。
「あたしも沖縄だしさ」
「北海道の人もいるし」
「それなら津軽の人がいてもおかしくないから」
「だからよね」
「あっちの人もね」
「日本中どころか世界中から人が来てるのよね、うちの学園」
 景子はこんなことも言った。
「それこそ」
「医学部の教授さんもでしょ」
「ドリトル先生も」
「高等部も留学生無茶苦茶多いしね」
「相当な割合でね」
 八条学園の特色の一つだ、この学園はそれこそ日本と国交のある国ならどの国からも留学生を受け入れているのだ。 
「北朝鮮以外の国から来てるわよね」
「あの国はまあ別だからね」
「国交ないし」
「ややこしい国だから」 
 あらゆる意味でそうした国である。
「だからね」
「あの国だけはだけれど」
「他の国の人はいるわよね」
「世界の殆どの国の人はね」
 八条学園にいるというのだ。
「国際色も豊かな学園だから」
「生徒の数も多いしね」
「学科だって」
「一通り揃ってて」
「そう思うと凄い学校だよね」
 美優もしみじみとした口調で述べた。
「うちの学校って」
「うん、私それもあってこの学校受験したの」
 琴乃はその美優にこう話した。
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