第七十五話 大雪の後でその二
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「あるから」
「一メートルって」
「ちょっとそれは」
「神戸じゃ有り得ないでしょ、けれどね」
「秋田だとなのね」
「あるのね」
「そうなの、それでね」
彩夏はさらに話す、今度の話はというと。
「そうした時によく言われるのよ」
「よくって?」
「っていうと?」
「雪女が出るとかね」
ここで妖怪の話になった。
「雪男とか雪ん子とか」
「あの雪男じゃないよな」
雪男と聞いてだ、美優が首を傾げさせながら彩夏に問い返した。
「ヒマラヤの」
「ええ、違うわ」
彩夏もすぐに答えた。
「あっちのじゃね」
「それじゃあどんな雪男だよ」
「雪男の旦那さんで。鬼とかそういう外見みたいよ」
「そんなのかよ」
「そう、あと雪ん子が雪男と雪女の子供なのよ」
「ふうん、それで雪女の一家がか」
「出て来るってね」
そうした話があるというのだ、秋田には。
「大雪の日は」
「じゃあそういう日に外に出たら」
「あまりよくないって言われてるのよ」
彩夏は里香にも話した。
「秋田だとね」
「妖怪に遭って殺されるとか?」
「そうともばかり限らないけれど」
「それでもよくないのに」
「大雪に遭って遭難するとかね」
そう言われているというのだ。
「まあ俗にだけれど」
「ふうん、成程ね」
「何かうちの学園にも雪女出るとか聞いたけれど」
「あっ、冷凍庫よね」
「雪男と雪ん子の一家でね」
「そうした噂あるわよね」
八条学園には怪談話が実に多い、それこそ七不思議どころか幾つあるのかわからない位まで存在している。
「他にも一杯あるけれど」
「雪女の話もあるのよね」
「とにかく秋田にはそういうお話もあるのよ」
大雪の日の雪女一家の話もだというのだ。
「そういう大雪の日もあるから」
「大雪も大雪よね」
「そうした日にね」
琴乃にも答えて言ったのだった。
「出るとかね。何はともあれこれ位だとね」
「まだなのね」
「そう、まだ大したことはないから」
秋田人の基準では、という意味での言葉だ。
「安心してるわ」
「じゃあ秋田の大雪って」
景子が顔を顰めさせつつ彩夏に問うた、それは一体どういったレベルなのかと怖くさえなってそうしたのだ。
「一メートル以上?」
「それ位なの」
「それはまた凄いわね」
「そうした場所だから。大体東北は雪が凄いのよ」
東北全体の話にもなった。
「寒いだけにね」
「青森とかも凄いのよね」
里香がここで青森を挙げたのはどうしてかというと。
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