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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
出迎え
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伝えたと思い込んでいたため、こちらには連絡がなかったようだ。

 その報告を持ってきた目の前の部下をふざけるなと怒鳴りつけて、再び艦長室に戻り――そして、後輩に愚痴る。
 待たされる事は別に問題ではない。
 結局、アレスが想像しているように、それを問題と思っていない事が問題なのだが。
 不機嫌そうに息を吐いたワイドボーンから逃げるように、歩きだすスタインベック。

 使えないと切って捨てることは簡単。
 わざわざ教える必要もなく、自分で考えることだとも思う。
 だが、あの後輩ならどうするか。
「スタインベック」

「は、はっ」
 背にかかった声に、スタインベックが慌てて振り返った。
「私は別に待たされた事に怒っているわけではない」
 戸惑いを浮かべるスタインベックに、ワイドボーンは苦虫を噛み潰した表情で近づいた。
 その表情が戸惑いから怯えに変化し、スタインベックは何も答えられない。

「時間が遅れるということを把握できなかったのも、向こうの伝達ミスだ。仕方がない」
 だがと一言呟いて、ワイドボーンはスタインベックを見下ろした。
 怒鳴られると構えていたところに、穏やかな口調で話しかけられて、戸惑っている。
 同時にワイドボーンの言葉を待っている。

「遅れたのならば、俺が確認させる前に君が動くべきだ。君は俺の指示を下に伝え、下の報告を俺に持ってくるただの宅配便ではないのだぞ?」
言われた言葉に、初めてスタインベックはなぜ怒られたのかを理解したようだった。
目に驚きが浮かんだ事に気づいて、ワイドボーンはその肩に手をおいた。

「正直。私はただの宅配便でも構わん――いま問題があれば、私が解決する。だが、君はそうではないだろう。何も考えずに情報を伝達するだけならば楽だが、何の意味もない。疑問点があれば、自ら動いて解決しろ。それが今のお前の任務で、いずれ上に立った時に必要となるものだ」
「はっ!」

 力強く頷いた様子に、ワイドボーンは小さく苦笑し、再び歩きだした。

 + + + 

 カプチェランカからの補給艦がハイネセン上空に到達し、そこから小型艇に乗り換えて、宇宙港へと向かう。若干の事務手続きの後に手荷物を受け取れば、後は自由だ。
 ゲートをくぐってロビーに出れば、幾人もの人間が出てきた兵士に声をかけた。
 家族や友人が、生きて戻ってきたことに安堵と笑みを浮かべて駆け付ける。
 大きくなった子を持ちあげ、若い妻を抱きしめ、あるいは恋人と再会を果たす。

 特に今回はカプチェランカでの戦いがニュースにもなったらしい。
 敵の大々的な攻撃に一時は絶望的かとの声もあったと、アレスは父親から聞いている。
 その中での再開であるから、喜びも大きいようだ。
 多くの人間が、兵士達を出迎
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