救世主
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殺すのがヒジリの戦法だ。
が、当然相手は自分の得意な近距離で仕掛けて来る訳で、しかもライアーはスピードもある。
こちらが距離を取る前に相手に距離を詰められてしまう為、ヒジリの攻撃が間に合わないのだ。
「鎖共!嘘つきな地獄の猟犬ぶっ殺しちまえ!」
「人の名をわざわざ直訳するなと―――――――言ったハズだッ!」
ジャラリ、と音を立てる鎖を、ライアーは躊躇う事なく斬り裂き、突く。
実はこの男、苦労人である事で霞んでいるが、チーム内ではクロスの次に強い魔導士なのだ。
勿論、遠距離戦は苦手なので、遠距離攻撃ではスバルやヒルダに軍配が上がるが。
「テメッ・・・」
「漆黒連斬・・・」
「がっ!」
ギリッと歯を噛みしめたヒジリ。
そんなヒジリを鋭く睨みつけたライアーは、容赦なくフィレーシアンを振るった。
縦に振るい、横に振るい、壁を蹴って宙を回転。
「常夜!」
「ぎいっ!」
落下しながら、容赦なく一撃叩き込む。
小規模の闇がヒジリを襲う。
ビリビリとした、全身を襲う痛みに、ヒジリは思わず膝をついた。
「どうした。もう終わりか?」
ライアーが呟く。
ヒジリはライアーを見上げ、睨んだ。
(オレがここまで手こずるたぁ、久々だな。コイツの強さはホンモノだ・・・)
ニィ、と。
口角が上がる。
(だけど)
ヒジリの本性―――――悪の、塊。
今までは、ただのお遊び。言うならば準備体操。
もう、準備は十分だ。
(テメェの弱点は知ってんだよ・・・地獄の猟犬!)
ライアーとて人間、弱点の1つや2つは当然存在する。
そして、それをヒジリは知っている―――――否、教えてもらった。
道化の中の情報網、月の女神の名を有する少女に。
「特殊拘束・幻影の拘束ッ!」
バッ!と両腕を広げる。
魔法陣が床に展開し、光を放った。
否、光と言うよりかは、闇と言った方が正しいのだろう。
漆黒の闇が輝いた時―――――そんな感じだ、とライアーは思った。
「・・・何も起こらない?」
ふと、自分の体に目を向ける。
が、拘束されるどころか傷1つない。
魔法は不発か?等と考えていると、ヒジリが口角を上げたまま顔を上げた。
その表情は、悪に歪んでいる。
「ククク・・・何が起こったか解らねぇって顔してんな」
「その通りだからな。それ以外の表情など出来ない」
「だったら教えてやるよ。これがテメェの最後だってなぁッ!」
「?何を・・・」
ぶわっとヒジリが腕を振るい、漆黒の闇の光を消し去る。
瞬いた光に思わずライアーは腕で目を覆い―――――光が消えたのを確認して、目を見開いた。
「そんな・・・まさか!」
声が震え
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