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Element Magic Trinity
救世主
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思うけど、まぁ答えてやっか」

ガシガシと髪を掻き毟る。
首元に、狂ったような道化師(ピエロ)の紋章―――――災厄の道化(ミスフォーチュンクラウン)の紋章があった。

「オレはヒジリ・ファルネス。災厄の道化(ミスフォーチュンクラウン)の魔導士だ」
「・・・極悪なる拘束者(ヴィシャス・バインダー)か」
「何だ、知ってんのか」

ライアーは答えない。
ただ、その頭の中に、目の前の青年に関する噂を浮かべていた。

(“殺しこそがコイツの生きる理由”・・・とか何とか言われていたか)

曰く、鎖で骨を砕いた。
曰く、縄で人を貫いた。
曰く、拘束以外の行動をせず人を殺した。

「・・・どうしようもない奴だな」
「初対面のテメェに言われたくねぇよ!つか、言ってる事がルナと同じだっての!」

噂を思い出し、無意識にライアーは呟いていた。
その表情には凄まじいまでの呆れが見える。
それを聞いたヒジリは思わずキレた。

「ルナ?誰だ一体」
「テメェにゃ関係ねーだろ!?そのウザったい口一生使えねーように封じてやんよ!」
「それは困るな」

ヒュンヒュンと飛び交う縄を、ライアーは最低限の動きだけで避ける。
相手は感情的すぎて動きが単純になっていて、避けやすいのだ。

「だーっ!ヒラヒラヒラヒラ避けやがって!うぜぇから動くなっ!」
「断る!」

空気を切り裂く音と共に、ライアーはフィレーシアンを振るう。
縄を切り、続けて飛んだ鎖を突き、跳躍して、振り下ろす。
目の前で飛び交う鎖や縄を着実に消していきながら、ライアーはヒジリへと向かって行く。

「桜花連斬!」

フィレーシアンを横薙ぎに振るう。
その動きに合わせ、桜の花弁が縄に向かって飛ぶ。
刃のように鋭く尖った花弁はいとも簡単に縄を切り裂き、鎖に張り付いて小規模の爆発を起こした。

「チィッ!」

魔法で生み出した縄達が簡単に斬られたヒジリは表情を歪めると、床を蹴る。
ドカドカドカ!と音を立てて花弁が床に突き刺さり、ざっと数えただけでも軽く20を超える傷跡を残した。
喰らっていたら一瞬で傷だらけだっただろう。

(やべーな・・・拘束(ボンテージ)じゃ攻撃主体のアイツにゃ勝てねぇ。近距離専門のアイツから距離取っちまえばこっちのモンなんだがな・・・)

ライアーは近・中距離攻撃を得意とする魔導士だ。
槍が届く範囲なら敵はなし(だと思う)、桜花連斬のような“飛ばす”魔法もあるが、それでも『術者がいる距離から槍が届く範囲まで』と飛ぶ距離は決まっている。
対照的に、ヒジリはどちらかといえば遠距離攻撃を得意とする。
彼の魔法―――――拘束(ボンテージ)はその名の通り拘束する事に特化した魔法。遠くから伸ばした縄や鎖を振るって相手を
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