東條希包囲網 後編
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と貴女のことだからきっとそうなのだと思う。でもそんなの――そんなの、関係ないわよっ! 私はね、他の誰でもない貴女と一緒にスクールアイドルをやりたいの! 今のままが最善だとか波長が合ってないとか、そんなの関係ない! 私は、希と一緒じゃなきゃ嫌なのよ!!」
瞳をうるませ、それでもまっすぐこちらを向いて声高に宣言するエリち。
「それに人に散々けしかけておいて、いざ自分の番になったら逃げまわるなんて卑怯過ぎる。そんなこと絶対にゆるさないんだからね!」
そんな、生徒の規範となる存在の生徒会長らしからなぬ、まるで子供の発言に、ウチは度肝を抜かれてしもうた。
「エリち――」
そしてなんだか。
「そんな――ぐすっ、そんなん言われても困るわあ」
ウチの目頭にも熱いものがこみ上げてきて。
気づいたら鼻も声もぐずぐず。
「だってウチ、もう決めたんよ? μ'sは後ろから見守ろうって。一歩離れようって。それを今更――」
「――ううん。全然。遅くない」
エリちは首を振って。こちらに向かって手を差し伸べた。
「貴女が私に言ってくれたんじゃない。『やりたいからやってみる、それでええやん』って」
「――っ!」
ああ。
うん、そうやった。
確かにそんなこと言った。
そっか。
ウチは人にエラそうに高説しておきながら。
自分こととなるとなーんも、わかってへんかったんやな。
どんなに言い訳しても。どんなに理屈を並べても。
「――ウチはスクールアイドルをやりたい」
そう、心の底ではそう思うてた。
だからμ'sの手助けもしたし、おせっかいもした。
なんや答えは簡単やったんやな。
「希先輩――」
そんでもってトドメのように。
気がついたらμ'sの他のメンバーも目の前に揃っていて。
「希先輩、今まで沢山のアドバイスや陰ながらの手助け、ありがとうございました!」
先頭に立っていた穂乃果ちゃんが、ウチに向かって頭を下げた。
「そしてこれからは、一番近いところで――メンバーの1人としてμ'sの土台を支えてくれませんか?」
そう言って彼女もウチに向かって手を伸ばす。
その純真で真っ直ぐな瞳は、ほんまに掛け値なしに神様みたいだった。
「ウチで――ほんまにウチでいいの?」
「はい! 希先輩じゃなきゃ、駄目なんです!!」
「――っ」
その言葉を聞いた瞬間にわかった。
「これはもう完敗、やな」
くすくすって。
場違いに笑いがこみ上げてくるくらいに気持ちのよい一本負けだった。
ウチにはここしかない。ここがいいって、そう思ってしまった。
「そっか……そんなにみんなウチがエエっていうなら、ひとつ頑張らせてもらうわ」
そして一瞬だけ後ろを向いて目をゴシゴシとすると。
決意を込めてみんなの方へと
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