東條希包囲網 前編
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ーん、なるほど――な」
元バレエダンサーのエリちに追いつこうと思って、まずは基礎から見直す。
その発想は間違ってないやろな。
「でもいきなり無理のしすぎは良くないで? 熱中症とかで倒れでもしたら元も子もあらへんし、な」
「――っ。確かに、そうかもしれないけど……」
「そうだよ〜、やっぱり適度に休んだほうがいいにゃ〜〜!」
「それはわかってるけど……。でも凛はすぐ休み休みって言いすぎなよっ」
「ま、真姫ちゃんも凛ちゃんも落ち着いて――」
くすくす。
三人とも、あれこれと試行錯誤してるみたいやな。
「ウチのオススメは、今みたいな日中は避けて涼しい朝や夕方に集中して行い、そしてそれを毎日こつこつこなすこと。カードもそう言ってるみたいやし、な?」
「その格好で“カード”っていわれても説得力ないわよ」
「あ、そうやったな。失敗失敗」
ジト目で突っ込む真姫ちゃんに、ウチは小さく舌を出してごまかすのだった。
「じゃあ、明日からは朝と夕方に用事がなかったら練習っていう形にしましょう。内容は柔軟と男坂のダッシュと――」
真姫ちゃんの内容をまとめると、納得した様子の三人。そしてこの日は解散ということになった。
うん、ちょっと暴走気味かと思ったけど、これでおねーさんも安心安心。
――と、腰に手を当ててそう締めようとしていたところで、最後に残った真姫ちゃんが不意に言うのだった。
「で、貴女はいつ来るのよ?」
「えっ?」
「とぼけないで。いつ正式にμ'sに加入するかっていう話よ――って」
真姫ちゃんはそこで急に顔を赤くして。
「べ、べつに、アタシの希望とかじゃなくって、他の2年生と3年生がそう言ってたって話よ。勘違いしないでね!」
最初何のことか分からなかったウチも、その言葉で理解する。
「ウチが、正式にμ'sに?」
「そ、そうよ。みんな早く9人で練習したいって言ってたわよ?」
「…………」
その言葉にウチは黙ってしまった。
だって当然やん?ウチはまるっきり加入する気なんてあらへんかったし、部内でそんな話になっていたなんて思いもしてへんかった。
ならばここも、お得意の躱しテクニックの見せ所やね。
「う〜ん、そうやな。真姫ちゃんがどーしても入って欲しいって頭下げてくれるんやったら、考えてあげるけど?」
「――んなっ!?」
すると真姫ちゃんは予想通り、顔を再び真っ赤にさせて声を荒らげた。
「だっ、だから私はどっちでもいいって言ってるでしょ!? もう知らない!」
赤くなった顔を隠すようにそっぽ向く。
これでなんとかなったかな――と、少し油断したところで。
「でも――」
蚊の鳴くような声で発せられた真姫ちゃんの言葉は。
「本当に、私が頭を下げるくらいで入るっていうなら……」
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