東條希包囲網 前編
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したら「じゃあ、後は任せたわよ!」って、これまたぱぱっと出て行って。
そんなんやから、残されたウチらと役員は、くすくすって顔を合わせて苦笑い。
それでも、今までの倍――ううん、それ以上に忙しくなってるはずのエリちのその顔は。
疲れも見えたけれど、すっごく楽しそうで、生き生きしていて。ものすっっごい輝いていて――。
それが羨ましいって、ほんの少しだけ思ったりした。
それがほんの少しだけ羨ましいなって、ウチも思ったりしたりした。
「けどウチは、裏方になるって決めたかんな……」
小さくつぶやいた声は、けれど参拝に来ていた人達を、誰も振り向かすことはなかった。
代わりに注目を集めたのは、男坂の方の聞き覚えのあるかしましい声だった。
「はぁ、はぁ、はぁ〜〜。も、もうだめぇ。疲れたぁ〜〜」
「うわあぁ、かよちん汗びっしょり。大丈夫?」
「これくらいの走りこみでもうダウン? 全くだらしないわね」
「むぅ〜、真夏に男坂の走りこみなんて、ふつうキツすぎて体力持たないにゃ!」
「だからこそ走ってるんでしょ? さ、五分休んだらもう一本行くわよ」
「むぅ〜〜〜」
「ま、まぁまぁ。わたし頑張るから……」
そこではμ'sの一年生三人組が、いつもの練習着姿で特訓していた。
でもちょっと雲行きが怪しい感じ?
くすくす。
ほいじゃあちょっと、ちょっかいでも出しにいこうかな〜。
そしてウチは、木陰に逃げ込んだ三人を追いかけるように、するするっと近付いていた。
「やっほー、お三人さん。こんな暑い中で練習やなんて、ご苦労さんやね」
「あ、副会長さん。こんにちはです」
「希先輩? こんにちはにゃ〜」
「どうも。貴女はなにしてるの――って、見れば分かるわね」
「そ。ウチは巫女さん姿で、境内のお掃除中」
と、箒を片手に決めポーズ。
「……なによそれ」
突っ込む真紀ちゃんのキレもイマイチで、ああは言っていたけれどさすがに暑さでやられてるみたいだった。
――うーん、これはちとアカンかもな。
「ちょっと前から見とったけど、真姫ちゃんがそないにやる気出してるなんて珍しいな。なんかあったん?」
すると答えは隣の花陽ちゃんから返ってきた。
「それは、その――絵里先輩の加入が理由なんです」
「エリちの?」
「はい。μ'sは絵里先輩が加わって、グループとして今まで以上にダンスも歌もレベルアップしました。それ自体はとても嬉しいことなんですが……」
「つまりそれだけ、私たちにもレベルアップが求められてるってことよ」
言葉を引き継いだ真姫ちゃん。
少し唇を噛み、苦い表情を浮かべていた。
「ダンスも歌も、彼女だけが飛び抜けて上手い――それに追い付くためには、私達が基礎的な部分から底上げしないとダメなのよ」
「ふ
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