遭遇-コンタクト-part1/メイドのピンチ
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サイトはルイズのその言葉を許容しきれなかった。
「そんなの…あんまりじゃないか!自分の意思を、どれだけ無視されてるんだよ、この世界の人たちは…」
「貴族の間じゃよくある話よ。シエスタのことは諦めなさい。あんたにはご主人様である私を守るのが役目だから、そっちの方に集中しなさいよ。また勝手なことしたら許さないんだから」
「………」
最後のルイズの言葉を、サイトは聞いていなかった。モット伯爵の噂と、意思を無視され望まず彼の元へ連れて行かれてしまったシエスタ。暗闇に染まっていく外の景色を、サイトは眺めていた。
…いや、眺めてばっかじゃだけだ。
一歩でも動かないと。シエスタは飯抜きにされた自分にご飯をくれたし、何度も世話になってくれた優しい少女を、貴族の好き勝手に立場の弱い彼女が酷い目に合うことなど、認めてはならない。認めたくない。彼女の未来は、彼女自身だけが決めなければならない。それをあのモット伯爵とやらは自分の助平な趣味のために踏みにじった。
(決めた!シエスタを助けに行く!)
窓から見える夕日を見て、サイトは意を決した。
夕日も沈んだ頃、学院のホールの噴水で、モンモランシーとギーシュは隣り合わせで座っていた。ギーシュは彼女に手作りの指輪をプレゼントしていた。『青銅』の二つ名を持つ土のメイジだからゆえか、その指輪は店で売ってもある程度の値打ちが付きそうなほど立派だった。
「ミスリルの指輪ね、素敵じゃない。でもこれで浮気の件はなしってわけじゃないでしょ?」
精巧な作りとなっている指輪を眺め感激しながらも、ギーシュに疑いの眼差しを向ける。
「わかってるさ。君がこの程度で許すとは思っていない…」
そう言って、歯の浮くセリフを言おうとしたところで、サイトがギーシュたちの前にやってきた。
「ギーシュ、ちょっといいか?」
「な、なんだいサイト?僕らの愛の語らいを邪魔しに来たのか」
せっかくの二人の邪魔をされたことに、若干不機嫌になるギーシュ。とはいえ、最初に会った時と比べると結構サイトに対して気さくになってくれている辺り、人当たりはよくなっていると見える。
「別にそういうわけじゃないって。っていうか、よりを戻せたんだ」
今ギーシュの隣に座るモンモランシー。ルイズほどではないが、彼女はトリステイン貴族らしく気位も高い。一度二股をかけたギーシュとはヨリを戻さないだろうと思っていたが、これは意外。以前どおり仲のいい二人に戻っているようだ。
「ああ、モンモランシーは本当に素敵な女性だよ。こんな罪深き僕を許してくれるなんて…」
(本当に罪深い奴だよお前は…)
相変わらずのキザな態度にサイトは内心でも隠し切れないほど呆れかえる。傍らでツンとした態度をとりながらもまんざらでもなさそうに照れているモンモランシーがその証拠。
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