暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
遭遇-コンタクト-part1/メイドのピンチ
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バイバルホラーゲームに出現するゾンビのように、怪しくうねるような動きで彼女に近づいてきている。
「何、なんなの…!?あ!!」
 辺りを見渡しても、奇怪の動きをする者たちが自分を取り囲んでいるせいでもう逃げ場がない。それでも助かりたい一心で彼女はこの包囲を突破しようとしたが、それはできなかった。気づいたときには、男の一人に腕を掴まれた。そして、一斉に彼女を取り囲んでいた人間たちは彼女に飛びかかった。
「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 その後、ぐちゃぐちゃと生々しく吐き気を催すような音が森に響いた。その光景を、50メイルの体長を誇る巨大な影が舌を巻きながら見下ろしていた。
 その日の夜から、とある伯爵の様子が、そしてその屋敷で働く従者・メイドたちがおかしくなったという噂が飛び交うようになった。




 虚無の曜日から次の日の朝、一台の馬車が学院の門の前に用意されていた。その馬車の傍らで、私服姿のシエスタが、寂しく名残惜しげに学院の校舎を見上げていた。
「何をしている。早く乗りなさい」
 晴れない表情のまま、彼女は御者に促されると、その馬車に乗ると、馬車はからからと車輪の音を鳴らしながら学院を去って行った。



 その日も、サイトは厨房へ足を運んだ。
 そう言えば、今日はシエスタの姿を見ていない。一体どうしたのだろうか?体調でも崩したのか?
「え!?」
厨房に着た途端、サイトは信じがたい事実を聞くことになった。
「シエスタが…辞めた?」
 信じがたい事実…それは、シエスタが学院のメイドを退職したという話だった。
「ああ、我らの剣は街に出かけてたんだよな。その間にな…」
 シエスタの所在を尋ねられた料理長のマルトーはサイトに、表情を歪ませながら言った。
「どうして!?シエスタが、何かやったって言うんですか?」
「落ち着けって我らの剣。俺だって胸糞の悪い話なんだけどな…」
 マルトーは不快そうに顔を歪ませて、シエスタが学院からどうしていなくなったのかを話してくれた。
「先日、モット伯爵っていう貴族がやってきてな。学院長に用事を告げて、そのまま帰ればよかったってのに、偶然鉢合わせたシエスタに目をつけると、自分のメイドにするって言って引っこ抜いていっちまったんだ……」
「何だって!? そんな無茶苦茶な!」
 勝手すぎる。そのモット伯爵という男は。シエスタは貴族という存在に恐怖さえもしていた子だ。恐ろしくて、それも自ら望みもしない相手に引っ張りだされるなんて嫌に決まっている。
「あいつだって嫌がっていたけどさ、俺たち平民が貴族に抵抗できるはずもねえ。結局平民は貴族に勝てやしねえんだ」
 悔しげに、しかし諦めるしかない現実と受け止めていたマルトーは仕事に戻って行った。


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