遭遇-コンタクト-part1/メイドのピンチ
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わざわざ昼飯の知らせをくれたのだ。
「ああ、行くよ。ちょっと待ってて」
もう掃除も一通り終えたところだ。サイトは掃除道具を片付け、シエスタに着いて行った。
厨房で食事を終えると、外に出たところでシエスタはサイトに頭を下げてきた。
「サイトさん、ありがとうございます」
「いきなりなんだよ?」
別に何かお礼を言われることをしてないのに、急にお礼を言われてむずがゆくなったサイトは一体どうしたのかとシエスタに問う。
「何があってもめげないし、平民なのに貴族相手に立ち向かったり、貴族さえも恐れたあの円盤が襲ってきても私たちを助けてくださったり…そんなサイトさんにはたくさん勇気をいただきました。サイトさんのおかげで、私…これからもがんばっていけます」
ギーシュから決闘を受け、そしてクール星人の魔の手からサイトに救出されたあの時から、シエスタはサイトに対して強く惹かれるものがあった。
「それはどうも…」
笑みを見せてくる彼女にサイトは少し照れてしまう。
「じ、じゃあ私はまだ仕事がありますから…」
そう言ってシエスタは再び厨房の方へと戻って行った。一瞬だけ、寂しげな表情を浮かべて。その時のサイトは、どうして彼女がそんな表情を浮かべたのか理解できなかった。
トリステイン魔法学院から離れた地域にある、とある領地の森の中。まだ機械文明が全くと言っていいほど浸透していない自然の匂いは人の心を澄まさせる。だが、今のこの森はそんなのどかな空気を漂わせていなかった。血生臭く、残酷な光景がそうさせていた。
「はあ、はあ、はあ…!!!」
その森の中で、屋敷など貴族のいるところで働いているはずの、一人のメイドの女性が汗水を垂らしながら、そして今にも血反吐を吐きそうなくらい息を切らしながら走っていた。暗い森の中、彼女はずっと自分を追い続ける『何か』から逃げ切ろうとしていた。
彼女の背後は真っ暗な闇、だがその奥からは人どころか、動物のものとは思えないような薄気味悪い唸り声が聞こえてきた。
まるでそう、死人の呼び声のようだった。
「あ!」
メイドの女性は地面から顔を出していた木の根に躓いて転んでしまった。それでも逃げ切ろうと立ち上がって走り出そうとするが、転んだ拍子に足を強く打ってしまっていた。すねが青くなり、膝にも血が滲みきっている。痛みが強く、しかもずっと走り続けていたせいで体力はもう残っていない。
そんな彼女に、彼女を追い続けていた者たちはついに追いついてしまった。
「や、やだ!来ないで!!誰か助けて!!」
怯える彼女を、追い続けてきた者たちは決して逃がすまいと取り囲む。彼女を取り囲んでいたのは、何と人間だった。老若男女問わず混在した集団で、何も彼女を辱めようとしているわけでもない。まるで世界的有名なサ
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