遭遇-コンタクト-part1/メイドのピンチ
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て言うなら、くれぐれも泥棒に気をつけろと勧告に来ただけじゃな」
「泥棒?」
棚に本を戻しながら、話の中で気になる単語を見つけた彼女は再度オスマンに問いかける。
「近頃『フーケ』とかいう、魔法で貴族の宝を専門に盗み出す賊が、世間を騒がしておるようでな」
「『土くれ』のフーケですか?」
サイトとルイズが武器屋の親父から聞いたように、噂になっている盗賊の名前である。土系統の魔法の使い手であり、その魔法でどのような強固な防壁も土くれと変えて、目当ての宝物を盗み出すという手口以外、素性も性別もまったく謎の怪盗なのだ。手がかりといえば、犯行現場に奇妙な署名入りの犯行声明が残されているくらいだ。
「先日の王都で起こった巨人と怪物の戦いの騒ぎに乗じて、多数の火事場泥棒の犯行があったらしくてな。前々から噂にあったそのフーケの犯行が疑惑されておる。
何より、我が学院には、王宮から預かった秘宝、『破壊の杖』があるからのぅ」
「『破壊の杖』?」
聞き慣れないその名称に、ロングビルは若干眉をひそめて聞き返した。
「物騒な名前ですこと」
「フーケとやらがどんな優れたメイジかは知らぬが、ここの宝物庫は、スクエアクラスのメイジが幾重にも魔法をかけた特製じゃ。取り壊しも苦労するもんじゃよ」
自信に満ちた表情でオスマンはそう語る。
「スクウェアクラス…なるほど、それだけ強固ならば確かにそこいらの盗賊では盗みに入る気も…ひゃ!?」
「ほほ、なかなか良い反応じゃのうミス・ロングビル。さて次はどこを撫でようか…あ」
机の上に置いてある、人の手をかたどった置物を浮かせると、オスマンはそれを使ってロングビルの背中をなぞるように擽る。彼女の悲鳴を堪能して満足したその直後、オスマンに向かって投げつけられた人の手を象った置物が矢のごとく襲いかかかってきた。
「あぎゃあああああああああ!!!」
ディノゾールとの戦いでトリスタニアの国民からも様々な認識をされているゼロ。しかしゼロとサイトは、あれから一言も言葉を交し合っていない。
サイトは苛立っていた。自分と同化しているウルトラマンが、人命救助よりも怪獣殲滅を優先させ、目の前の命を見捨てようとしていたという事実に憤りを覚えていた。逆にゼロは大を守り小を切り捨てると言う考えからか、どうせ犠牲は出るものだからと人命を軽視し怪獣を倒すことを優先して考えていた。だからサイトに邪魔をされたことを怒っていた。
だがサイトが何より許せなかったは、これまで地球を守ってきたウルトラマンたちを、ゼロはこともあろうか『人間の道具に成り下がった奴』と見下してきたのだ。彼らを尊敬する身であるサイトとして、この発言はゼロとの溝を深めるのに十分すぎた。
「しっかしおどれーたな街んときは!相棒がまさかどでけえ巨人になっちまう
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