第一章 光の使い魔たち
王都-トリスタニア-part1/その名はゼロ
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だろう。鎧の巨人…正体不明のウルトラマンのことだ。サイトがその巨人を呼称したためか、その名前が不思議なくらい他の人間にも浸透し、鎧の巨人は『ウルトラマン』と呼ばれるようになった。
星人に襲われたあの日から、シエスタをはじめとした学院の平民出身の厨房師たちはサイトを高く評価するようになった。剣を達人級の腕前で振い、貴族であるギーシュを見事に打ちのめしたことで『我らの剣』と。よほど彼らは、貴族連中の下についていることをよく思ってないようだ。わだかまりなく話してみれば結構それなりに話せる子もいるが、そうなるにしてもずっと先の話だろう。ともあれ『我らの剣』はサイトにとってとても照れくさい呼び名だった。
中庭を歩いて厨房へ向かうサイト。よほど床の上の粗末な朝飯が答えたのか、サイトは自分からアルヴィーズの食堂に入るのを拒否するようになった。本当なら自分の言うことなら何でも聞いてくれる存在であってほしいとは思うルイズはいい顔をしなかったが、あまりサイトの意思を無視したらかえって使い魔からの信頼と得られなくなる、それではただの暴君でしかないと、サイトがこれまで自分にぶつけてきた言葉を思い返し、少しは彼の行いを黙認することにした。
厨房へ向かうサイトは自分の左腕に付けられた腕輪を見る。これはただの腕輪ではない。見かけは、まるでSF映画に出てくる超合金性の腕輪のようでもある。クール星人の襲撃の時、この腕輪が鎧に変形しサイトの左腕を覆っていき、最後には鎧を身に着けたウルトラマンとなった。
サイトの記憶の中で鎧を身に着けていたウルトラマンと言えば、メビウスと共に『暗黒大皇帝エンペラ星人』や『高次元捕食体ボガール』をはじめとした怪獣・星人の侵略から人類を守った青き戦士、『ハンターナイトツルギ』こと『ウルトラマンヒカリ』。
だが、自分が変身した鎧のウルトラマンはツルギとは違う。それにサイトは変身した時に、あの鎧があまりにも着心地が悪くて動き辛いものにしか思えなかったのだ。成行きとはいえ命のやり取りをしていたと言うのに、わざわざハンディを付けるなど愚かなことだ。だったら、どうして…?
『俺のことがそんなに気になるか?』
「!」
また声が聞こえてきた。変身した時に聞いた、自分とは別人の若い男の声だ。キョロキョロと辺りを見渡すサイト。もしかして、俺の中から話しかけてきているのか?早速サイトは、自分の中にいるウルトラマンに話しかけた。
「あんたは、一体…どうして俺の中にいるんだ!?」
『まあ落ち着け、順を追って話してやる』
こほんと咳払いする声も聞こえた。このウルトラマン、思った以上に人間臭くて砕けた喋り方をする。地球人からのイメージだと、結構神聖な存在とも取れるので予想外。とある悪徳ジャーナリストに正体を暴露されたメビウスも、GUYSの
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