第一章 光の使い魔たち
王都-トリスタニア-part1/その名はゼロ
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サイトは不思議に思って首をひねっていた。主人の反応からして誰かいるのは確かなはずだ。すると、ゼロが声の主がどこにいるのかを教えてくれた。
『そこの樽から声がするぜ。カタカタって金具が勝手に動いてる奴だ』
サイトは言われた通り店の端にある、剣がいっぱい詰まった樽に視線を向けてみる。言われて見れば、確かに一本だけ奇妙に、剣の鍔のあたりの金具が人間の口のようにカチカチと音を鳴らしながら動いている。
「もしかしてお前か!!?」
見るとボロボロにさび付いた剣が喋ってた。サイトは面白がってそのボロ剣を手に取った。
「すげー!!!剣が喋ってる!!おもしれー!!」
喋る剣というコンセプトが、サイトの好奇心旺盛な心を刺激した。
「これって、『意思剣(インテリジェンスソード)』じゃない」
ルイズはサイトが手に持った剣を見て当惑した声を上げた。
「ルイズ、そのインテリなんとかって何?」
サイトはルイズに説明を求める。
「簡単に言えば、人間と同じように意思を持った剣のことよ」
「おう、当たってるぜおじょーちゃん」
喋る剣は、口代わりにカタカタと金具を動かして喋っている。
「お前が喋ってたのか?名前は?」
「俺っちはデルフリンガー様だ。ん?」
デルフリンガーはサイトの左手にあるガンダールヴのルーンを見ると、驚きの声をあげた。
「おでれーた。おめえ『使い手』か?」
「使い手?」
「なんだ知らねーのか?まあいい。俺っちもわかんねえし。まあいいさ。俺っちのことはデルフでいいぜ」
自分で意味深なこと言っておいてなんだったんだよ…とサイトはデルフリンガーの意味不明な発言に首を傾げたが、この喋る剣がなんとなく気に入っていた。
「そうだな…ルイズ、これがいい」
「ええ!?こんな錆びた剣?」
ルイズは目を丸くした。他にも錆びてないキッチリした剣があるのに、この使い魔はこのおかしな剣を気に入ったのか?
「喋らなくて綺麗な剣を選びなさいよ」
「いや、だって…金あんまり持ってきてないだろ?」
「う…」
「ゼロもいいよな?」
『ま、さっきの奴よかずっとました。いいんじゃないか?』
確かにサイトの言う通り、新金貨100しか持ち合わせがない。しかもデルフリンガーの値段もちょうど100。ゼロもとりあえずその剣が一番いいだろうと言う。仕方なくルイズはサイトのリクエスト通りデルフリンガーを買い、武器屋を後にした。
と、来た通りを出てきた途端二人は予想もしていない人物二人と鉢合わせする。キュルケとタバサの二人だ。
「あ…あんた達!!何でここにいるのよ!?」
指をさして物申すルイズに、キュルケは余裕の態度を示す。
「あらルイズ、奇遇ねえ…ちょっと剣を物色しに来たの。ある殿方に贈るためのね」
そう告げたときの彼女の視線は、まっすぐサイト
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