第一章 光の使い魔たち
王都-トリスタニア-part1/その名はゼロ
[15/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
すよ。以前からあった土のメイジの盗人で現場に自分のサインを残していくことで有名な『土くれのフーケ』の噂が絶えねえですだ。その影響で貴族様も従者に剣を持たせる始末でして」
しかしルイズは特に、その『土くれのフーケ』の話に興味を示さなかった。
「でも、この剣細いわね。すぐに折れちゃいそうで。もっと大きくて太いのがいいわ」
店主の話が終わり、レイピアを見たルイズは別の剣を注文した。
「お言葉ですが人と剣には相性というものが――――」
「大きくて太いのがいいと言ったのよ」
「へ…へい」
口には出さなかったが、店主は素人め!と心の中で舌打ちする。続いて店主が持ってきたのは、金ぴかで宝石が所々にちりばめられた大剣だった。店主曰く、ゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿による業物で、剣にかけられた魔法で岩をも一刀両断とのことらしい。
「おお!かっけーーー!!!」
『…』
豪華な剣を一目で気に入ったサイトだが、彼の中にいるゼロは唸っている。何か思うところがあるのだろうか。サイトが気に入ったようなので、ルイズはその剣を買うことにした。
「おいくら?」
「エキュー金貨2000、新金貨で3000になりやす」
それを聞いた途端、ルイズはびっくりした。
「な!? なによそれ!立派な家と森つきの庭が買えるじゃない!!」
あまりの値段にルイズは激怒したが聞き入れられなかった。この日ルイズは新金貨100しか持ってきていない、とても買えるような値段ではなかった。
「気に入ったのにな…」
残念そうに呟くサイトだが、ここでゼロが彼に声をかけてきた。
『サイト、はっきり言うぜ。その剣を買う金があったとしても買うことは勧めないぜ』
「!い、いきなり話しかけるなよ…で、なんでそんなこと言うのさ?」
ルイズたちに聞こえたらまずい。サイトはわざと名残惜しそうに剣を眺めているふりをしながら小声でゼロに返事する。
『その剣、このウルトラマンゼロから見れば使い物にならないなまくらだぜ?多分剣の型に鉄を流し込んでから金メッキを張り付けただけの飾りもんだ』
「…マジ?」
この剣がなまくら?見たところそんな風には見えないのだが。だがゼロの話が本当だとすると、ルイズのなけなしの金を結果的にドブ川に捨てることになるだろう。まあどうせ買う金もないし、この剣は店主に返してしまうのが無難だろう。
「おい坊主、剣もまともに振れねような体つきで生意気言ってんじゃね!てめぇには道端に転がる棒切れがお似合いだぜ!」
サイトが剣を店主に手渡した途端、どこからか男の声が響いてきた。
「んだと!誰だ!!…ってあれ?誰もいない?」
「やいデル公!商売の邪魔すんじゃね!」
悪口を言われたサイトは声の方を見たが誰もおらず、そこには樽に入れられていた沢山の武器があっただけだった。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ