第一章 光の使い魔たち
王都-トリスタニア-part1/その名はゼロ
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いわ。それより上着の中の財布に気を付けなさい。寄り道もしないことスリが多いから」
ルイズにそう言われ、サイトは彼女から持たされた財布が無事か確認する。ずっしりと重い。流石は貴族のお嬢様だ。寧ろこんな重いものをするのは誰だと思ったが、ルイズは魔法さえあれば一発だと言ったので用心することにした。
街の建物にほぼひとつずつ付けられている看板を見て、サイトは興味深そうに足を止めた。
見たところ看板には、本の形をしたものもあれば、魚の形をしたものもある。壜の形をした看板は酒場、×印のような形をしたものは衛士の詰め所と、建物の役割によって形が決まっているようだ。
「字の読めない平民も多いからね」
「俺看板見てもなんの店かわかんね〜な」
おどけたような口調でサイトは言った。この世界に来たばかりだから致し方ない。
「迷子になっても知らないわよ。ほら、とっととついてくる!」
ルイズに引っ張られてきた先は、悪臭漂う裏通りだった。鼻を抑えるサイトを見て、ルイズも顔をしかめる。当然ながら彼女も来たくなかった様子だ。
中には中年の男店主がおり、ルイズを確認すると驚いたように警戒した。一瞬は胡散臭げに見ていたが、彼女の制服の胸にある五芒星を見て、吹かしていたパイプを置いてすぐに姿勢を整えた。
「こ、これは貴族様!うちはまっとうな商売をしておりますので、お上に目を付けられるようなことは…」
「客よ」
ルイズは腕を組んでそう言った。
「へぇ、最近の貴族様は剣を扱いになられるのですかい?」
「私じゃなくてこいつのよ。」
そういってルイズはサイトを指差した。そのサイトは店の中をキョロキョロ見回していた。結構好奇心が良くも悪くも高いのだ。
「剣のことなんかさっぱりだから適当に、でも貴族の下僕にふさわしいものを用意して頂戴」
「かしこまりました」
そう言って店の奥に消えた店主は、へへへと嫌な笑みを浮かべていた。鴨がネギをしょってやってきた。せいぜい高く売りつけてやろう、と企みながら。しばらくして店主は美しい装飾の施されたハンドガードつきのレイピアを持ってきた。
「これなんていかがでしょう?」
「おお!」
「あらキレイ!」
レイピアの見かけに対しサイトとルイズは目を輝かせた。
「へぇ!最近の貴族様は下僕に剣を持たせるのが流行でして。それはそんな貴族様に人気の品でして」
「剣を持たせる?どういうことかしら?」
店主の言葉にルイズは疑問を感じた。ちなみにサイトは子供のようにはしゃいでレイピアを振り回している。
『サイト、その剣気に入ったのか?』
「まあ、悪い剣じゃないってのはわかるよ。細い分すげー振り回しやすい」
そう言いながらサイトは『秋沙雨!』と吠えながら突き攻撃の練習をし始める。
「いえね、最近やたらと物騒な噂を聞くんで
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