十三話 夏中
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っているようなものだ。
そんな場所で既に自分は宿題が終わっている、などという発言を大声でしようものなら、その日のうちに同級生の寮生へと俺のノートは、俺の意図しないところで回っていくだろう。
「・・・もちろん。俺を誰だと思っている」
ふんぞり返りながら言う。
正直、前世の記憶とかズルすぎることこの上ないのだが、できるのだから仕方がない。
そのうえ、学力5だ。5はデカイ。
なんの勉強をせずとも上位4分の1に入れてしまう。
これは1学期の最初の中間テストで確認した。
前世の知識を使わずとも(使う、使わないなんてできるわけではないのだが)この成績。
期末テストでちょっと頑張ってみると、なんとなんと簡単に3位という成績が取れてしまった。
前世の俺は一生懸命やっても精精、平均を超えるかどうかというカスっぷり。
なんてすばらしいんだ、今の頭のスペック。
「彩・・・いや、彩様・・・見せてください!」
そう言って、声は小さいままで頭を下げる友近。
「おいおい、俺達は親友だろ?」
「・・・さ、彩・・・グス・・・お前ってやつは」
感動したのか、友近はわずかに涙をにじませている。
「お前がそういうことは、とうの昔にわかっていたさ」
「ありがとう・・・さっそく今日の昼にでもみせて」
「だが断る」
「・・・ぇ」
友近が文字通り固まる。
その間にカチャカチャと食べ終えて空っぽになった食器を重ね、キッチンの方へと持っていく。
返却場に置いて、戻ってきてみると、友近がまだ固まっていた。
???ポン
「冗談だ」
友近の肩に手を置く。
「・・・さ、彩ぃぃぃ!!」
(どうせ、伊織のやつも見せてくれと言いに来るんだろうな)
目の前で俺の服を掴んでブンブン揺さぶっている友近を見ながら思った。
案の定だろうか、伊織にも宿題を見せることになった。
朝食後、友近と、昼と朝が兼用になる伊織とでラーメンを昼飯に食いにいった。
そのときに、伊織にも頼まれた。
正直、まだまだ夏休みが終わるまでは余裕がある。
ギリギリになるまで普通は焦ったりしないのだが、この二人はちゃんと自分のことが分かってるらしい。
「期限が迫ったからといって焦るなんて漢じゃない!ましてや期限なんて他人に決められたものに従う気もない!」
っとさっき伊織が自慢げに言っていた。
要するに、
(どーせ、夏休み最終日になってもやらない、てことか?)
なんて、内心で伊織のセリフを思い出して呆れつつ、目の前で必死の形相で俺の宿題を写している二人を見る。
「ったく、なんで現代文に宿題が出て
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