精霊、高町家に来る
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らは俺を思ってこの世界に飛ばしたようだ」
「理由は聞いても良いものなのかしら?」
コクリと頷いてから
「俺をこの世界に送り出したやつは俺には休息が必要だと言っていた」
「休息?」
ラタトスクの顔が少しだけ暗くなる。
「おそらく、仲間や親友達と死に別れて落ち込んでると思ったんだろう……いや思っていたんだな」
そこで美由季が聞き辛そうに言う。
「まるで知り合いが皆死んでしまったみたいに聞こえるけど…」
「そうだ。人間の知り合いは全員死んだ」
「人間の知り合い?」
「ああ、人間の知り合い。皆、寿命で大往生だったけどな」
てっきり事故か何かで知り合いを亡くしたと思っていた高町家は驚きつつも、士郎が
「寿命でといってもラタトスク君の知り合いは、皆お年寄りだったというわけでもなさそうだ。それに話を聞いていると君は人間じゃないように聞こえる」
「俺は人間じゃない。精霊だ……」
「精霊……」
「俺と仲間達の寿命は違っていた。最初から死に別れると分かっていた……だから俺は仲間達に……皆のいた世界を見守り続けると誓った。……俺は帰らなきゃいけない」
ラタトスクの苦しそうな声が部屋に広がった。
苦しそうに話すラタトスクを見て桃子と士郎はお互いを見た。
二人は同時に、この子を一人にしてはいけないと思った。
そして士郎が話し出す。
「ラタトスク君。君を送り出してくれた人たちは君に休息が必要だと言ったそうだね?」
「ああ、そうだ。でも必要ない」
「いいや、必要だ。ラタトスク君、この家にしばらく残りなさい」
真剣な表情で言う士郎にラタトスクは疑問に思う。
「なぜそこまで俺を気にかける?」
「君がすごく苦しそうな顔をしてるからだ」
「……」
「俺は、こんな表情をする子供を放っておけない」
「俺はアンタより何倍も生きてるし、子供じゃないんだが……」
「少なくとも見た目は子供だ」
その言葉にラタトスクは自分の姿を見てみると。
「…かなり縮んでるな。あいつらの仕業か」
そして士郎は
「それと君は今すぐ元の世界に戻ることはできないんじゃないか?」
「……」
「……その様子だとできないようだし、少なくとも元の世界に帰れるまでこの家にいなさい」
ラタトスクは士郎の真剣さを見て
「……わかった」
そこで桃子が嬉しそうに笑顔になる。
「ふふ、家族が増えたわね。士郎さん」
「そうだな」
それを聞いたラタトスクは驚きながら。
「ちょっと待て、ここに残るとは言ったが家族になるとは…!」
「ここに残ると言うことはこの家で住むって事。ラタトスク君はまだ幼いし、
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