暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
実は、里中千枝は気が使える。
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と生物と言うべきか。
立ち込める霧のせいで細部までは見えないが、胴体らしきタマゴ型から、人間でいう手と足が生えている。
それをにょこにょこ動かしながら、少しづつ近づいてくる。
人ではない……何だ?
隣で、誰かが唾を呑む音が聞こえた。
位置関係でそれが里中だったか花村だったか判別できなかったあたり、俺も相当余裕がないのだろう。
だから。
「ーーキミ達……」
なんて人間の言葉を発しながら、ソイツがことさら大きく踏み込んできたとき。
「花村、里中!」
「う、うっす!」
「う、うわああああああっ!」
俺達は全速力でその場から逃げ出していた。
冷静さ? はっ、そんなもん知らないね。
「ぜぇ、ぜぇ……」
「し、しんどっ……」
三人揃って肩で息をする。あの物体は何とか巻くことができた。
それは良いのだが。
「…………マズいな」
「どっから来たか、分からなくなっちゃいましたね……」
せめてさっきの場所が分かればいいのだが、なにしろ半オートパイロット状態で走ってきたから、どこをどう走ったかなんて全く覚えていなかった。
「…………何この部屋、気持ち悪い……」
里中が呟き、俺もようやく辺りを見渡す余裕ができた。
俺達が駆け込んできた場所は、確かに部屋のようになっていた。
板張りの床と天井。そして四方を囲む壁。
異様さはその壁からきていた。
壁一面に貼りまくられた無数のポスター。一様に和服を着た女性の写ったそれは、馬鹿丁寧に、一枚一枚女性の首のところで掻き切られていた。
そして、塗りたくられた真紅のペンキ。どろどろと流れてくるように錯覚さえするそれは、まるで血糊だ。
その様は、軽くスプラッタ。
確かにこれは、気分が悪くなってくる。
「おい……あれ」
なんだよ、まだ何か見つけるのかよ。本格的に辟易としつつも、花村の指し示す先へ目を向ける。
「…………あの椅子と紐の位置、なんともあからさまな……」
「……やっぱりそうっすよね」
「……何でそういうの見つけるかなぁ」
部屋の片隅、天井から吊り下げられた輪っか付きロープとその真下に位置する椅子。
まああれだ、そっとしておこう。
「……あれって、絶対首吊……」
「わぁぁぁぁっ! 言うな花村っ!!」
空気を読まない花村を里中が制す。ナイス仕事。
「……とりあえず、この部屋から出よう」
「そだね、行き止まりみたいだし……」
そう言い合って踵を返し、そして
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