暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
実は、里中千枝は気が使える。
[7/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
でノリツッコミとは余裕だな、里中。まあ、可能性は実際に一番高いんだが。

「うー……この際、もうどこでもいいや。とりあえずここから出ようよ…………っ!?」

肩を縮こまらせている彼女の斜め後ろから、ぬっと花村が現れた。

「花村っ、いきなり後ろに来ないでよ! ビックリすんじゃん」

「悪ぃ悪ぃ。今、ぱっとその辺を見てきたんだけどな。……アレだ。出口が分からない」

「え」

花村は頭をかいて続ける。

「いやさ、道自体は何本か見つけたんだけどな。当然の事ながら、どれを進めば良いのか分からないんだよ」

「ああ……って、どうすんのそれ!?」

「知るか! 俺に聞くなっての!」

「知るかじゃないって! どうしよう!?
カンで探し回ってみる!?」

「そうだな、とりあえず各自出口を探す方向でっ……」

「お前ら、落ち着け」

どんどんと先走って行こうとする二人にストップをかける。

「ここで全員がバラバラになるのは良くない。下手すりゃ合流できなくなっちまう」

「あ、ああ」

「うん……わかった」

ある程度はクールダウンした様で何よりだ。
非常時に必要なのは、第一に冷静さだ。それを欠けば普段ならまず見落とさないものでさえ見落としてしまう。
それに加えて、自分の置かれた状況を迅速かつ正確に把握し、順序だてて物事に対処する能力が必要になる。

さあ、考えろ。
制限された視界、皆無な方向感、分からぬ出口。
その上で、この状況から脱出するために最善の選択肢は。

「……よし、ともかく携帯だ。花村、ここから連絡が取れないか試してくれ」

「あ、はい! ……そっすよね、ケータイあったんすよね」

そう、軽くパニック状態になっていたからすぐに気づけなかったが、俺達には携帯電話という文明の利器があったのだ。

花村が携帯を取り出し、耳にあてる。

実のところ、すんなりと連絡がつくとは思っていなかった。
別に予感とか予知とかではない。単純に、俺という人間が疑いからしか思考を開始できないからだ。
ここでもし携帯電話で連絡がつくのなら、それが最良だ。
だがそんなに物事がうまくいくとは限らない。なら一つの解を導き出した程度で思考を止めている暇などないだろう。

花村が携帯を耳から離した。どうやら結果が出たらしい。

「先輩、連絡ダメでーーー」

「ーーーねえ、アレ!!」

突然、里中が霧の中の何かを指した。
その大声に反射的にそちらに目をやる。

にょっこりと立っていたのは、丸っこい物体。いや、動作があることを勘定する
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ