暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
実は、里中千枝は気が使える。
[6/13]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
うと思ってるんだよね。花村、何か安いの無い?」
「ん? ああ、安いのならこっちの方だな」
遠ざかっていく二人を尻目に、俺は未だテレビの前に立っていた。
妙に引っかかっていたのだ。
昨日の出来事。夢にしては、やけにハッキリと記憶に残っている。
「これとかはどうでしょう、里中さん」
「高っ! ゼロ一杯ついてんじゃん」
「……いや、お前んちの高いがどれ位か教えてくれなけりゃ、判断のしようがねぇよ」
「………………」
その時、俺は何を考えていたのだろうか。
多分、何も考えていなかったのだろう。でなけりゃ、あんな馬鹿らしい行動しやしない。
だが、どれだけ馬鹿らしくても、それが引き金になったことは確かだ。
この時、この瞬間より、比企谷八幡の常識は大きな変貌を遂げていくこととなる。
「…………おいっ、里中、アレ! アレ!」
「どしたの、花む……うわぁっ!? 手が刺さってる!?」
二人の悲鳴ともつかない叫びで、俺の思考は回復した。
次いで、現実逃避の原因となった事象を再確認。
俺の右手が、テレビに刺さっていた。
「………………」
ともかく、左手で頬をつねってみる。痛い。
ふむ、夢ではない……のか?
「何あれ花村、どんな新機能!?」
「しらねーよ! つーか新機能な訳ねーだろ!」
ぎゃーぎゃー言いながら二人が駆け寄ってくる。
その時。
『だれクマっ!』
テレビの奥から聞こえた妙な声。
同時、手を掴まれる感覚。次の瞬間、ぐい、と腕が引っ張られる。
引きずり込まれる!?
とっさに隣の花村をつかんだが、彼のつかんだ里中も一緒に、あえなく全員でテレビの中へ落ちてしまった。
「ーーーー痛っ」
「ぐっ…………」
着地に失敗した。
硬い地面にしこたま尻を打つ。
「……くそっ、ケツが割れた」
「もともとだ、花村」
同じく尻を打ったらしい花村が立ち上がる。頭を打たなかったのは奇跡に近い。
「……どこ、ここ」
里中が辺りを見渡し、俺達もそれに倣う。
「……なんも見えねぇ」
辺りは深い霧に包まれていた。それは視界を大きく制限してくるのに加え、じめじめと質量をもってのしかかってくるようだった。
「どこだと思う、先輩」
……ふむ。
「全員揃って夢見てるんじゃなけりゃ、流れ的にテレビの中ってことだろ」
「だよねー……って、それは流石にないでしょ!?」
この状況
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ