暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
実は、里中千枝は気が使える。
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騙されたりしない。そういう類の話は一度許してしまったら以降も流されるしかなくなるのだ。

「でもそれだとおかしくないか? 二人の運命の相手が同じ人って」

何故そんな与太話が実在している方向で話が進んでいるのだろうか。

…………ん、待てよ?

「……与太話、俺も経験してる?」

そう、昨日の夜、確か……

「あれ、もしかして比企谷先輩も山野アナが映ったり?」

「いや、それとは違うんだが……」

まあ、話すだけならタダか。




「アハッ、アハハハッハハハハッ!」

「……いや、そんなに笑わなくても」

笑い転げる二人。周囲の視線が痛い。

「あははっ……い、いや、だってさぁ」

「テレビに引きずり込まれそうになったって……流石にそれは……ははっ」

いやそれ、そんなに面白いか? 普通に寝落ち乙で流すとこだろ。

「まさか比企谷先輩からそんな話が聞けるとは思って無かったっすから」

「そうそう、テレビがちっちゃくて引きずり込まれずに済んだってとこなんか、微妙にリアリティあって面白いし」

「……そりゃ良かったな」

クソ、自分でも与太話だと分かっているが、やはり目の前で笑われると気分が悪い。

「いやすんません、あんまし面白かったんで……」

「いやー、ゴメンゴメン……そうだ花村! ジュネスならあるんじゃないの? 人ひとり入れくらい、おっきいテレビ」

「ああ、あるぜ。うん、今から見にいくか?」

お前ら、絶対すまないと思って無いだろ。いや、もういいけどさ。

話がひと段落つき、暗い空気も払拭されたところで。
ポツリ、と何かが額に落ちて来た。

「…………あ、雨」

「……とりあえず中に入るか」

「そっすね」

見上げた空に、黒ずんだ雲が流れ込んできていた。



「……んで、何で来たの?」

「いや……ノリで?」

ところ変わってジュネスの家電製品売り場である。まあ、テレビを売っている。

何、さっきの与太話を間に受けた訳? ……いや、無いだろ。

「いいじゃん、モノは試しだって。……ほら、やってみるよ、花村」

「おう。……じゃ、せーのっ」

二人して、売り場中央のひときわ大きなテレビの画面に、ピタリと触れる。

「…………」

当然、何も起きない。

「………まぁ、そりゃそっか」

「だよな」

いや、そんな顔でこっち見られても。寝ぼけててすんませんっした、としか言いようがない。

里中が、切り替えたように辺りを見渡す。

「そういえばウチ、丁度テレビ買い替えよ
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