暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
実は、里中千枝は気が使える。
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そう言いつつ、考えている風の花村の方へちらりと視線を送る。

「………………」

「……花村、ちょっと気にしすぎなんじゃないの? 小西先輩、たまたま疲れてただけかもしれないじゃん」

「そうかもしんないけどさ……」

花村は視線を彷徨わせる。

「…………そうだ」

その様子を見て、里中が軽く息をつきつつ身を乗り出してきた。

「ねぇ、迷える花村に良いコト教えたげる」

本当、お疲れ様です。そう思いました、まる。

「……マヨナカテレビって、知ってる?」

「マヨナカテレビ……?」

なんかこう、B級都市伝説的なにおい漂うネーミングセンスだな。

「……雨の日の午前零時に消えてるテレビを一人で見るんだって。画面に映る自分の顔を見つめてると、別の人間が映るってヤツ」

あー、その先は何か予想つく。

「……で、そこに映った人が運命の人なんだってさ」

安易だね。安易すぎて安易だ。
あれ、このコメントも安易?

まあでも、女子の好きそうな類かなぁ、何て思っていると、花村が意外な反応を返した。

「……ああそれ、俺やったことあるわ」

「……え。マジで?」

やべえ、思わず言葉が口をついて出ちまったよ。
ていうか、え、花村くん、意外とピュアですね。

「ねえねえ花村、何か映ったの?」

里中が興味しんしんなふうにたずねる。

ここでもし"小西先輩"とか答えられたら、どこの不思議系ラブコメだって話だが、まあ、里中の期待するような展開はないだろうな。

「いや、それがさ…………何か、山野アナが映ったんだよ」

は、映ったの?

って一瞬でも本気で反応しそうになった自分が恥ずかしい。冗談に決まってるじゃんか。
ほら、よくあるだろ? クラスメイトに"蹴るぞ"って言われて、ビビってたら"冗談だって〜(笑)"なんて。でも結局蹴られるんだよね。
何それ冗談じゃないじゃん。以上、最近の若者の言葉の乱れを本気で心配する高3生でした。

「いや、信じらんねーかもしんないけど、マジなんだって」

え、もしかしなくてもイタい系の人だったの、花村くん。
真剣な顔で言われても、僕信じないよ。

「それって不倫でニュースになってる人だよね…………花村、あたしは信じるよ」

おーい、里中さん? この話は花村の注意を逸らすための、ほんのジョークだったんじゃないのー?

里中は続ける。

「ほら、何か映ったって話自体は結構聴くし……何より、あたしも見たんだよね、山野アナ」

そんな"みんなやってるよ"的な言葉に、俺は
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