暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
実は、里中千枝は気が使える。
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在する辺りの空間だけ、空気が重い。
ズシリと、肩と腹の奥に何かがのしかかってくるようだった。
「う、うわ…………っ」
花村達の元へ走ろうとして、足がもつれた。深い霧のせいで足下がよく見えなかったからだ。
慌てて尻餅をついたような態勢になって、後ずさる。
三体いるボールどもがうねうねと宙を舞い、こちらへ寄ってくる。
「くっ………………ん?」
頭に重さを感じる。
本能的に少しでも身を守ろうとしたのか、俺はいつの間にか着ぐるみの頭の方を被っていた。
その辺、人間上手く出来ていると言うべきか、溺れる者は藁をも掴むというべきか。
まあいい。問題は、視界が急に良好になったという事だ。
具体的に言うと、霧が晴れて見える。
着ぐるみの頭の恩恵か。
これならいける、か?
駿足で態勢を立て直し、花村らの元へ走れば。視界が良好な分、そこから先へも逃げやすい。
「……いや、無理だろ」
状況はもうそんな段階ではなかった。
目先数センチ。
その位置に、既に化け物の舌があった。
食われる、のか?
そうなのかもしれないし、舌でくすぐられて笑い転げて死ぬのかもしれない。
あ、その死に方いやだな。何か世界の面白い死に方100選とかにのりそう。
まあ、どんな死に方しようと実質俺には関係ないんだけどね。
死んだら死んだ。そこで終わりだ。
その後世界で自分の死がどう扱われようとも俺には関係ない。
ほら、某死神も言ってただろ。死する先は、等しく無だ。
俺が死んだら、葬式には誰が来てくれるだろうか。
まあまず、小町は来てくれるだろう。というか、来てほしい。身内すら来てくれない葬式とか悲惨すぎる。
あとは……あいつらは、来てくれるだろうか。正直わからない。
そこまで考えて、自分がやけに冷静なことに気づく。
死を目前にした覚醒状態、というやつだろうか。
いや、違う!?
「…………それで、その被り物は一体何でしょうか」
唐突に景色が変わっていた。
そこは、いつぞやの青い部屋。
前回と同じく中央に座る長っ鼻が、少し呆れたような目で見ていて、そして俺は自分の頭の上に乗っかる物のことを思い出す。
い、いやこれは自分の身を守るために必要な物というか……そう、ヘルメット! ヘルメットみたいなものだ!
「その耳の形、少しかわい…………いえ、なんでもありませんわ」
マーガレットさんの心の声はスルー。
数瞬前まで自分の置かれていた状況を思い出し、少し真面目な表情を作
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