暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
実は、里中千枝は気が使える。
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「そっか」

そんな花村の変化を知ってか知らずか、里中は明後日の方向を向いて呟いた。

「ホント、ジュネスって便利だよね……商店街とか、行かなくなっちゃった」

「……里中、今度ビフテキ奢るから、マジでそういう話やめて」

「あ…………ゴメン」

冗談めかして言おうとして失敗した花村を見て、里中が俯いた。

「………………」

何、何でこないだからこんな重苦しい雰囲気が蔓延してんの?
田舎ってもっとのどかなもんだろ。そうじゃないの、ねえ。
それともあれか。これは俺が来たせいなのか? 比企谷菌が散布されちゃったからなの? だとすれば稲羽市は街中に空気清浄機を設置するべき。

ただ、そんなものはないわけで。なら人間がその代わりをするしかない。

「……んで花村、話って? 俺は愛する妹の為に一刻も早く家に帰りたいんだが」

持って行った先の話が話だが、得意の自虐は相手がある程度俺のことを知っていないと使えないので仕方ない。

と、里中が少し予想外な反応を返した。

「…………確か、昨日も妹が理由で断ってたよね」

「……先輩、俺はいいと思うっすよ、シスコンキャラ」

「いやまて、俺はシスコンじゃない。某千葉のディープな方の兄妹とは違う。あくまで家族として妹を愛しているだけだ」

「そんなことを臆面もなく言える時点でシスコンじゃん」

「つかディープな方って…………」

正直予期しなかったオチがついたが、空気は払拭されたから結果オーライである。
このオチで良いのか、俺。

気を取り直した花村が佇まいを直した。

「…………小西先輩って、クラスで何かあったりするんすか? 」

やはり小西がらみか。

「何でそう思った?」

「なんか、元気なかったんで……」

「……俺の見る限りクラスメイトとは上手くやってるみたいだったが」

とりあえずぼかしたが、むしろ間接的な原因は花村にあるのではないだろうか。本人にそのつもりがなくとも、花村の存在が小西を縛っているように俺には見えた。
が、さすがに、原因はお前だー、とは言えない。そもそも確証がない。

まあ、多分花村がそう感じた理由はそれだけでは無いのだろう。元気がないからだけで、わざわざ知り合ったばかりの先輩を引き留めやしない。
なら、クラスで何かがあったと思わせるような下敷き、もしくは小西に行動の異常があったはずなのだ。

花村が続けた。

「……小西先輩、あれで結構ガード堅いっすから……男と二人きりになんて、そうそうならないんすよ」

「そうなの? 意外」

これ
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