暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
きっと、小西早紀の望むものは。
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おそらく、俺からその話題に触れることはないだろう。

そんな事を思いながら買い物を済ます。

多機能フライパンなる怪しさ満点の代物に引っかかりそうになったことと、レジの店員さんにうっかり憎しみの眼を向けてしまって引かれたこと以外は特に問題なかった。
記憶の刷り込みって恐ろしいよね。いつの間にか俺の中でジュネス=悪という等式が成り立ってたようです。

だから俺の行く先にいるあの店員も悪だ。うん、無視無視。ステルスヒッキーで気づかれないようにやり過ごそう。

「……あれ、ヒキタニくん?」

見つかった。
そりゃそうだよね、最初っから目合ってたもん。むしろ一瞬で俺だと気づかせなかった自分の印象の薄さを褒めたい。

ジュネスの制服に身を包んだ知り合いに、一応声を掛ける。

「うす……小北」

「小西だよ……まぁ、たった一日で覚えるのは無理だよね」

ほう、だから俺の名前を間違えているのも仕方ないと?

世に言うジト目で小西を見つめると、彼女はぶるりと身体を震わせた。

「うわあ……眼、ホントに腐ってる……」

「うっせ、生まれつきだ」

最近このセリフへの耐性が上がり過ぎてヤバい。けどあくまで耐性だけで、無効化とか反射とかはしてないからダメージは受けてしまうのが難点です。

「ヒキタニくん、買い物?」

小西はそんな風に聞きながらレジ袋を覗きこんでくる。

買い物かなんて見りゃ分かるだろ。大体、用が無けりゃこんなところこねぇっての。
ていうか俺帰りたいんだが。

「あれ、調味料ばっかだね。お使い? 」

「まあ、そんなとこだ」

残念だったな。
ここで『ちげーよ、自分でやんだ。ほら俺、小学校六年生レベルの家事なら大抵できるし?』なんて言って話しを広げてやるほど俺はお人好しではない。

さあ、勝負は俺のターン。
どうやってこの会話を集約させようか。

……………………よし。

「……くっちゃべってて良いのかよ。そのカッコ、バイト中だろ」

これなら後腐れなく合法的に会話を終了できる。

「それなら大丈夫。ちょっと前から休憩だから」

マジですか。

「ね、いま暇? フードコートでちょっと話そうよ。自己紹介の続き」

「……昨日喋ったので十分だろ」

「あれを自己紹介とは言わないって。結局千葉についてしか話してくれなかったでしょ」

「仕方ないだろ。俺が過去を語ったら、百パーセントの確率でトラウマに抵触するからな」

「何それ、逆に気になるんだけど」

ちっ、今ので引いてくれれば自然に会話終了ルートだったのに。

「ほら、いくよー」

まあ、バイト
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