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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第366話】
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直撃するや、試合終了のブザーが鳴り響いた。


「……っ。 また……負けたのか……」


 呟く様に言葉を吐く一夏に、俺は――。


「一夏、前にも言ったがお前は弱いんだぞ? もう少しそれを自覚した方がいい」

「……っ。 俺は……弱くねぇよ、白式があれば……千冬姉や箒、他の皆だって守れ――」

「本当に守れると思ってるのか? 正直、今の一夏が守る守るって言っても誰も守れないぞ? 白式だって、一度奪われかけたんだ、弱さを認めるのも人として必要何じゃ無いのか?」


 そんな俺の言葉に、一夏は顔を上げて俺を見ると――。


「弱くねぇのに、弱さを認める何て俺には出来ねぇよ……」

「……じゃあさ、少し訊くがお前の何処が強いって言える? 白式が強いって言うならそれを作った倉持技研、及び篠ノ之博士が作ったからになる。 腕っぷしの強さか? 腕っぷし――喧嘩が強い人間何か、この世の中じゃごまんと居るさ。 それに、前に聞いた大立ち回りも小学校低学年の頃の話だ。 あまり参考にはならない。 なら心が強いからか? 心が強い人間何て先ず居ない、人はいつまでも未熟で、時に挫折したり躓いたりして心を折られたりするんだし……」


 そう言う俺の言葉に、一夏はキッと目尻を吊り上げ――。


「だから! 俺は弱くねぇって言ってんだろ!!」


 胸ぐらを掴まれ、俺の顔面を力一杯拳を振り上げて殴る一夏。

 口の中を切ったのか、血の味が口一杯に広がる――殴られた箇所から痛みが全身に伝わる中、息も荒く胸ぐらを掴んだ一夏を見ながら。


「……殴って満足したか、一夏?」

「……ッ!」

「……事実を受け入れる覚悟も、人には必要だ。 ……手、離せよ」


 そう言うが、伏し目がちになる一夏はいつまでも離そうとせず、無理やり掴んだ手を離すと俺は――。


「俺も時折お前を殴るが、基本全部理由があって殴ってるんだぞ? 今のお前の怒りは、弱さを認められない子供が駄々をこねて殴った様なものだ。 そんな奴に、俺は自分の拳を痛めてまで殴るつもりは無いし、そもそも今のお前に殴る価値すらないさ、これが」

「…………」


 黙ったまま俯く一夏を、俺は軽く一瞥するとそのままピットへと戻っていく。

 頬から伝わる痛みがだんだんとキツく感じ始め、俺は帰って直ぐ氷で冷やそうと思い、足早に着替えてアリーナを後にした……。
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