暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
20.宴の始まり
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第四真祖」

「ああ……サンキュ」

 アスタルテが運んできたドリンクバーを古城へと渡す。

「彩斗君も遠慮せずに食べてよね、これどれも美味しいよ」

「お……おう」

 彩斗は一刻も早くこの空間を抜け出したかった。
 まず彩斗の今の格好が嫌なのだ。
 雪菜や友妃たちに私たちも仮装してるのだから彩斗も仮装しろと言われて適当に以前、“オシアナス・グレイヴ”に行った時に着ていった黒のタキシードを着用している。
 前にこんな姿をした時に、浅葱に普段よりかっこいいと言われたが、彩斗自身はなにも思わないのだ。
 さらにこの店の状況だ。
 ケーキバイキングということで彩斗を除いて男が誰もいないのだ。
 いちおう古城もいるが今は優麻の姿のため、結局彩斗以外全員が女となっている。

 ふと彩斗は気になったことを思い出す。
 それは、妹と母親の詳細だ。
 美鈴は、今だに帰ってきておらず、唯は朝起きるとリビングに波朧院フェスタを見てくるという置き手紙を残してどこかに消えた。

「って……じゃなくて!」

 この状況に見かねた古城が声を荒げる。雪菜たちが、驚いたように食事の手を休めて声を上げた。

「なんで俺たちはこんなところでのんびりケーキバイキングに挑戦してるんだよ!? ユウマが俺の身体を奪った目的だって、まだわかってないんだろ!」

「とりあえず、これでも食べて落ち着いてください」

「だーっ!」

 古城はやけくそになってケーキを受け取ると、それを一息で口に放りこんだ。
 ですけど、と雪菜が冷静な口調で言う。

「優麻さんの行方を探すといっても、なんの手がかりもないですし。それに、ここまで空間の歪みが大きくなってしまうと、下手に移動するのは危険すぎますから」

 ぐ、と古城は言葉が詰まった。

「確か、この現象って霊力が強いと空間の歪みに引き寄せられるんだよな」

 雪菜が無言で頷く。
 それで昨日、彩斗は雪菜の家へと転移させられたというわけか。

「それに……実は、優麻さんの魔術をすぐに破る方法もあるんです」

「え?」

 雪菜の言葉に古城は軽く呆気にとられる。
 雪菜の視線は、隣に立てかけた銀色の槍に注がれる。

「“雪霞狼”か……!」

 はい、と雪菜が小さくうなずいた。
 “雪霞狼”の刃は魔力を無効化し、あらゆる魔術の術式を無差別に消滅させる。

「ですけど、これだけ緻密な空間制御の術式を強制的に無効化すれば、術者には相当な反動があるはずです。接続されている神経に回復不能なダメージを与える可能性も」

「は?」

「つまりは、ここで優麻の肉体を“雪霞狼”で刺せば、古城の肉体は戻るけど、優麻の神経がズタズタに引き裂かれてしまう、ということか…
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