暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
20.宴の始まり
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たな」

『LCO第一隊“哲学(フィロソフィ)”のメイヤー姉妹か』

「ああ」

 LCOは高位の魔術師、そして魔女だけで構成されている巨大犯罪組織だった。構成員は数千人規模。強力な魔道書を多数有しており“図書館”という通称はそこから命名されている。メイヤー姉妹は、そのLCOでも有数の武闘派だ。
 実戦経験の少ない本土の攻魔師が、太刀打ちできる相手とは思えない。

「今回の騒ぎの目的が“書記(ノタリア)の魔女”なら、連中も同盟のひとつやふたつ結ぶだろうよ。あの女が持っている闇誓書には、それだけの価値がある」

『管理公社の執行部も、浅葱の嬢ちゃんと同じ意見か。てことは、魔女姉妹があちこちで空間の歪みを引き起こしてる理由は──』

「ああ。連中はアレを探してるんだ。今のところはまだ手こずってるみたいだが」

 島全体に広がる身秩序な空間の歪み。それが逆に魔女たちの目的を明確に表していた。
 空間を歪めることで、絃神島周辺に隠れているものを探し出そうとしているのだ。このペースだと見つかるのも時間の問題だ。

『なるほどな、南宮那月を動かせないのは、それが理由ってわけか、ククッ』

「認めたくはないが、おかげで深刻な戦力不足だ。ほかに単独で“アッシュダウンの魔女”を撃破できる手駒というと、吸血鬼の貴族か、獅子王機関の剣巫クラスだが……』

 矢瀬が苦悩の表情で頭を掻く。姫柊雪菜、逢崎友妃の二人なら、魔女の姉妹相手でも遅れを取るようなことはないだろう。
 しかし、二人を引きずり出せば、同時にこの島の二つの不安定な魔力限である第四真祖と神意の暁(オリスブラッド)を動かすことになる。ただでさえ空間が不安定な状態で眷獣など出されたら、それこそ収拾がつかなくなる。
 貴族の方など論外だ。

『そういや、姫さんが事態の収拾に手を貸してもいいと言ってるそうだぜ。ただし条件つきだがな』

「条件?」

 戸惑う矢瀬のPC画面に、ラ・フォリア王女からのメールが転送されてくる。

「……あの女、正気か?」

『噂以上のじゃじゃ馬だな。ケケッ、そういうのは嫌いじゃないがな』




 時刻は正午をすぎたあたり。西地区の繁華街のカフェにいた。
 お祭りムード一色となった街には、色とりどりの屋台や露店があふれ、道路は仮装した観光客でごった返している。

「美味しいですね、このカボチャプリン」

「私もさっき食べたところでした。こちらのパンプキンパイもなかなかです」

「ボクは、このパンプキンケーキが好みだな」

 同じテーブルに座った雪菜と夏音、友妃は、大皿山盛りにしたスイーツをせっせと取り分けていた。六人が注文したのは、九十分間限定のケーキバイキング食べ放題。

「おかわりをどうぞ、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ