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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
20.宴の始まり
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もなく胸元を押さえた。
古城の頭をいつものように叩こうとするが、それが優麻の身体だと思い出し、手を止めた。
「ち、違います! なにを想像してるんですか!?」
「おまえが言い出したんじゃねーかよ」
「だからそうではなくて、先輩の身体というのは、つまり第四真祖の肉体という意味です!」
雪菜の言葉に彩斗の中で仮説だてられていたものが徐々に形作られていく。
「どうしてあいつがそんなことを……!?」
「それ以外にはあり得ないんです」
雪菜が真剣な表情で答える。
「だけど、雪菜……吸血鬼の肉体をそれ以外の人間が操ることはできないはずだよ」
友妃が考えるこむように呟く。
「おそらく優麻さんは、実際に暁先輩の身体を奪ったわけではありません」
雪菜の声が、仮説を真実へと近づける。
「優麻さんは空間を歪めただけです。空間同士を接続して先輩の五感と自分の五感を入れ替え、本来なら先輩の肉体に伝えられるはずだった神経パルスを、自分のもので置き換えた」
「……つまり俺は、ユウマの目に映ったものを自分で見てると錯覚して、自分の手足をうごかしてるつもりで、あいつの身体を操作してる……ってことか?」
次々と脳に流れる言葉が真相へと近づいていく。
「そんな高等な空間制御魔術を普通の人間が使えるわけがない。……つまり優麻の正体は……」
「まさか、同じ……なのか。那月ちゃんと……?」
空間制御魔術の使い手、“空隙の魔女”──南宮那月。
「そうなるよな……仙都木優麻。あいつの正体は──魔女だな」
矢瀬基樹は、高等部の校舎の屋上で、ドーナツを片手にノートPCを広げていた。昨日から一睡もしてない彼には疲労の色が見える。
『よぉ、ずいぶん派手なことになってるみてぇだな』
PC画面に、不細工な縫いぐるみ型の3Dモデルが割り込んでくる。
「おまえか、モグワイ。浅葱はどうした?」
やたらなれなれしい人工知能に向かって、矢瀬は訊き返す。
浅葱以外の誰にも使いこなせない厄介で危険な代物だ。
それに浅葱に身分を隠して密偵活動をしている矢瀬にとっては、いわば取引先の部下に弱みを握られているようで実にやりにくい。
『昨日の疲れが溜まって今は、お寝んねしてるところだ。隙だらけの可愛い寝顔でも見るか?』
「要らん。古城か彩斗の携帯にでも送りつけてやれ」
『ククク……そいつはいいな。ついでに待ち受け画面にも設定しといてやるか』
本当にこの人工知能ならやりかねない。
「とりあえず人工島管理公社のシステムは安定したんだな?」
『空間の歪みが原因の誤作動は、一応解消したはずだぜ』
「そうか、今回は相手が悪かっ
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