暁 〜小説投稿サイト〜
美しき異形達
第十話 風の令嬢その三
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「ここが桜ちゃんのお部屋なの」
「そうです」
「十二畳はあるわよね」
「そうですね、言われてみれば」
「いや、このお部屋を一人でなの」
「そうです、使わせてもらっています」
「やっぱり凄いわ」
 ここで唸ったのだった、裕香も。
「私の奈良の家なんてとても」
「というかあたしの寮の部屋より広くね?」
 薊はその広い部屋の中を見回しながら言った。京都の昔ながらの旅館と言っても通じる部屋のその中を。
「あたしのところ三人部屋だけれど」
「そうですか。ただ」
「ただ?」
「実は私は寂しがり屋でして」
 ここでだ、桜は少し気恥かしそうに微笑んで話したのだった。
「夜は妹達と寝ています」
「妹さん達と」
「そうです、一緒に」 
 そうしているというのだ。
「子供みたいですが」
「それってこのお部屋が広いからじゃないの?」
 菊も部屋の中を見回しながら言う。
「ここ冬とか寒そうよね」
「冷暖房はあるわね」
 菖蒲は部屋の上の方を見た。見ればそこにクーラー、ヒーターを兼ねているそれがある。
「けれどなのね」
「一人だとどうしてもです」
「寒く感じるのね」
「妹達もそう言っていまして」
「それでなのね」
「はい、夜は三人一緒に寝ています」
 今もだ、そうしているというのだ。
「そして朝起きています」
「妹さん達とも仲がいいんだな」
「はい、とても」
 そしてだ、このことは桜から言った。
「確かに私は両親とも妹達とも血はつながっていませんが」
「心で、なんだな」
「私は赤ちゃんの頃に両親に引き取ってもらいました」
「そしてその時からか」
「そうなんです、育ててもらって」
「妹さん達ともか」
「育って。暮らしてきていますので」
 だからだというのだ。
「私達は家族です」
「私と同じね」
「そうよね、私もだけれどね」
 ここでこう言ったのは菖蒲と菊だった。
「確かに家族と血はつながっていないけれど」
「それでもね」
「私達は家族よ」
「掛け替えのない、ね」
「そうそう、あたし達力の持ち主って全員そうなんだよな」
 ここでだ、薊は彼女達の事情を話した。
「孤児なんだよな、両親わからないんだよ」
「そうですね、不思議なことですね」
 桜も薊のその言葉に応えて言う。
「何故私達は皆孤児なのでしょうか」
「親がわからないんだろうな」
「何かあるのでしょうか」
「っていうかさ、力を持っていることもな」
「不思議ですね」
「何か力自体は気らしいんだよ」
 自分の掌の上に小さな炎を出して言う薊だった。
「これな」
「それですね」
「ああ、だからこれはまだわかるにしても」
「身体能力があがる理由は」
「それがわからないよな」
「はい、どうしても」
 桜も首を
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ