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腐敗
第二章
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第二章

「その俺達に楯突くような連中はな。何をしてもだ」
「捏造をしてもですか」
「潰すんだよ」
 やはりヤクザそのものの言葉であった。極めて質の悪い人間の言葉である。
「完全にな」
「それじゃあ本当に捏造を」
「おい、話はもう終わりだ」
 井上は彼の話をここで切らせた。
「もう帰れ」
「いえ、捏造だけはしては」
「御前は懲戒免職だ」
 こうまで彼に言うのだった。
「いいな。会社の金を横領しやがって」
「えっ、私はそんなことは」
「今から警察に言っておくからな」
 有無を言わさぬ口調だった。
「警察のトップも俺には逆らえないってこと。覚えておけよ」
「くっ・・・・・・」
「それが嫌ならさっさとこの部屋から出て行け」
 不遜な態度であった。相変わらず。
「さもないと本当にクビじゃ済まねえぞ」
「・・・・・・わかりました」
 彼は無念さと苦渋に満ちた顔で言うしかなかった。
「私はもうこの社を去りましょう」
「おう、さっさと出て行け」
「ですが」
 だがそれでもだった。彼は井上に対して言った。言わずにはいられなかった。
「社長、権力というおのは所詮は砂上の楼閣です」
「マスコミは情報も金も何もかも持ってるんだぞ」
 井上は葉巻を吸いながら彼に返した。
「それでどうやって俺達の権力が砂上の楼閣なんだ」
「そう言って権力の座が崩壊するのも人の世界です」
「根拠はないな」
「あります」
 井上を睨み据えての言葉だった。
「貴方は何時かそれを思い知るでしょう」
 最後にこう言って姿を消すのだった。井上は彼の言葉を聞いていたがその言葉に対して平然とこう述べて終わるのであった。
「誰がマスコミの権力を崩すっていうんだ。できるものかよ」
 それからもこの新聞社の虚報は続いた。しかも意図的な。まさに彼等は世論を作りそれによりやりたい放題を行ってきた。それはスポーツ界にも及んでいた。
「いいか、金はあるんだ」
 井上はまた取り巻き達に告げていた。
「ホームラン打つ奴と速いボール投げる奴はだ」
「その金で、ですね」
「掠め取るんですね」
「そうだ。金で動かない奴はいないんだよ」 
 井上の考えではそうなのだった。
「だからだ。目の前で金を積んでな」
「ええ、それで」
「その選手を取っていくのですね」
「強ければそれで客も来るんだよ」
 こうも考えているのだった。
「それで新聞で宣伝してだ。いいな」
「わかりました。そのうえで」
「我がチームを強くしていきましょう」
 取り巻き達は諂いしかしない。彼等は井上の言葉通りに他のチームのスラッガーやピッチャーの前の大金を積んだ。多くの者が札束に目が眩みそのチームに入った。
 まさにチームはスター集団になった。しかしその人気は。
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