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やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
誰がどう見ても、諸岡金次郎は小物である。
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イプではないな、と思った。

「気にすんな。あの状況じゃ仕方なかったろ」

「……そうだよね、ありがと!」

ジャージ少女は一転、ニコリとした笑みを浮かべた。
頃合いか、と思って別れを切り出そうとした時だった。

「ねえ、あたし達ジュネス寄って帰るんだけどさ、一緒に行かない? お礼ってことでさ」

ジュネスとは全国チェーンの大手スーパーなのだが。
その発言に少し疑問を覚えた。

「確か放送で、事件が起きたからまっすぐ帰れって言われなかったか?」

「そんなん無視でいいじゃん」

さいですか。

「あの…………」

今迄黙っていた天城が口を開いた。

「あの、迷惑じゃなかったらで良いんです……ちょっとでいいからお礼したいなって」

ストレートに伸びた黒髪が揺れる。
雪ノ下と同じくらいの長さはありそうだ。少し見とれてしまったが、きっちりと断っておく。

「すまんな、妹を待たにゃならん」

事件なんて物騒な時にあいつ一人で帰す訳にはいかん。
つーか女子二人と下校とかどんな地獄だよ。気を使いすぎて禿げるまである。

それで天城は諦めたようだったが、ジャージ少女の方は尚も食い下がってきた。

「じゃあ、妹さんもいっしょに」

「いや、待ってたらいつになるか分からんし、良いよ」

あいつのことだから、友達でもつくってくっちゃべっているのかもしれないし…………な。

「……千枝、今日は諦めよう」

天城の言葉に、ジャージ少女はしぶしぶといった風にうなづいた。

「……じゃあ、名前だけ教えてよ。あ、あたしは里中千枝、それでこっちが天城雪子ね」

まあ、名前くらいなら。

「三年の比企谷八幡だ」

そういうと、ジャージ少女改め里中は驚いた顔をした。

「うっそ、先輩だったの!? 見ない顔だったから新入生だと思ってた」

「そりゃ、転入生だからな」

「あ、そーなんだ……いや、そーなんじゃん?」

いや、それ敬語になってないからな。

「じゃあ、私たちはこれで……」

「今度何かおごるからねー」

それぞれに口にして、彼女たちは去っていった。

「…………さて、と」

本格的に暇になってしまったので、スマホを取り出す。

昨日の夜から千葉の奴らからのメッセージがたまりに溜まっていた。
その数計73件。

「………………」

「……お兄ちゃん」

声のかかった方を向くと、小町がいた。

「…………早いね。友達とか、できなかったの?」

「お前、俺を誰だと思ってるんだ? 友達なんてできるわけないだろ」

小町は
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