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やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
誰がどう見ても、諸岡金次郎は小物である。
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なかった。

「何でさ!」

なんでって…………もてない男の典型だなあ、と思ったです、はい。

「ちょっとアンタ、良い加減諦めなよ!」

見かねたもう一人の女子ーージャージ少女が割って入った。
何かどこぞのカンフーファイターみたいに臨戦態勢をとっている。

男子生徒は一瞬ビビったように後ろに下がったが、半ばヤケクソ気味に叫んだ。

「うるさい、邪魔なんだよ!!」

今にも襲いかからんばかりの男子生徒に、ジャージ少女は一歩二歩と近づいていく。
男と女、体格に差こそあれジャージ少女の構えは素人目にも綺麗に見える。冷静さを欠いた男子生徒に勝ち目はないだろう。
ふむ、この場合はジャージ少女が男子生徒を倒してしまっても大丈夫なんだろうか。正当防衛、ちゃんと認められるのか? 分からんな。

「千枝、蹴りはダメ!」

同じように思ったのか、それとも単純に良心が咎めたのか、天城が叫んだ。
その声に、ジャージ少女は不服そうだったが、次の瞬間何かを閃いたような表情をした。

「だったら! ほら、雪子彼氏いるし!」

「え、えっ?」

いや今明らかに、だったらって言ったよね。
案の定天城は混乱し、男子生徒は突っかかってきた。

「だったらってなんだよ! そんな奴どこにもいないだろ!?」

凄い剣幕の男子生徒に、ジャージ少女はたじたじとなりつつも辺りを見渡した。

「いるよ! ほら、あの人!」

へえ、誰だろう、偽彼氏役に選ばれるのは。
傍観者気分でジャージ少女の視線の先を辿ると。

「…………あれ、俺?」

いや、どうせ選ぶならもっと別の奴を選べよ! それっぽいの一杯いるだろうが。
なんて周囲を見渡すと、なんと俺以外の生徒がこの場にはいないのでした。

「………………」

「……………………」

値踏みするように見てきた男子生徒と目が合う。なんとなく睨めっこのような状態に移行。
しばらくその状態が続いていたが、ついに男子生徒の方がふいと視線を逸らした。

「…………なら、いい!」

捨てゼリフを残して走り去った男子生徒の背中を見送る。

勝因にはだいたい予想がつく。たぶん俺の腐った眼を直視するのに耐えられなくなったのだろう。

初めてこの腐った眼に感謝していると、女子二人が近づいてきた。

「あの……ありがとうございました」

そうご丁寧に頭まで下げられると困ってしまう。

「いや、俺別に何もやってねえし」

「でも、勝手に彼氏役押し付けたのはごめんじゃん」

申し訳なさそうなジャージ少女。申し訳なさそうなのに何か馴れ馴れしい。あまり得意なタ
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