暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
誰がどう見ても、諸岡金次郎は小物である。
[6/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。

「…………えっと、ヒキタニくん、だっけ?」

さっきの女子生徒が小声で話し掛けてきた。
雰囲気こそ大人しめだが、仕草の端々から女子高生やってます! というオーラが溢れている。
要するにリア充っぽい。
俺に話し掛ける時点でコミュ力は間違いなく高いし、さっきのフォローも絶妙のタイミングだった。それと、俺をヒキタニと呼ぶのは大体リア充だ。
誰だよヒキタニ。ついでにこんな呼び方考えたの誰だ。戸部か、戸部だな。

「……何であんなこと言ったの? 絶対、目つけられたよ」

「……そうみたいだな」

「……そうみたいだなって…………まぁ、いいけどさ」

彼女は、話し掛けてきた割にどうでも良さげに相づちをうった。

…………確かにさっきのは俺らしくなかった。
まさかいきなり教師を敵に回すとは。
誰にも影響せず、誰にも影響されない孤高のぼっち。それが俺のスタンスだったはずだ。

…………転入初日で気が立っていたのかもしれない。
そんな風に自分を戒めていると、女子生徒がまた話し掛けてきた。

「……とにかく、気をつけなね。モロキン、目をつけた生徒にはとことん厳しいからさ」

「……わかった、気をつける」

そうとだけ答えて、前をむく。
話はこれで終わりだと思ったのだが。

「……ねえ、ヒキタニくんってどこから来たの?」

まだ終わらねぇのかよ。流石はリア充、話しが長い。

「……千葉だよ」

最低限の単語で話しをする気はないですよアピールをしてみる。

「……そっか千葉かー。あれだよね、ディスティニーランドとか、幕張メッセとか。あたしも行ってみたいなー」

…………これは単に気づいていないだけなのか、それとも気づいて無視しているのか。
とにかく、女子生徒が話しを畳む気配はなかった。

「……ほら、さっき結局自己紹介できなかったからさ」

「……別に授業中に話さなくていいだろ」

こんどは直接的に言葉にすると、彼女の顔が少し歪んだ。こりゃ、いい感じに嫌われたかな。
そんな風に思ったのだが、どうも違ったらしい。

「……今日、家の手伝いで早退しなきゃでさ」

そう言った時の彼女の表情には目に見えて陰りがさしていて。これ以上は踏み込んではならないと俺の脳内アラートが鳴り響いた。
なんとしても話題を変えようと、雀の涙なコミュ力を総動員する。
だが、解決策は思わぬ方からやって来た。

「おい小西! ちゃんと返事をしろぉ!」

出席をとっていた諸岡ことモロキンである。

「あ、はーい」

女子生徒が、のんびりとした調子で返事を返す。凄いな、俺ならいきなり声を掛けられた
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ