暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
誰がどう見ても、諸岡金次郎は小物である。
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た。
「…………えっと、ヒキタニくん、だっけ?」
さっきの女子生徒が小声で話し掛けてきた。
雰囲気こそ大人しめだが、仕草の端々から女子高生やってます! というオーラが溢れている。
要するにリア充っぽい。
俺に話し掛ける時点でコミュ力は間違いなく高いし、さっきのフォローも絶妙のタイミングだった。それと、俺をヒキタニと呼ぶのは大体リア充だ。
誰だよヒキタニ。ついでにこんな呼び方考えたの誰だ。戸部か、戸部だな。
「……何であんなこと言ったの? 絶対、目つけられたよ」
「……そうみたいだな」
「……そうみたいだなって…………まぁ、いいけどさ」
彼女は、話し掛けてきた割にどうでも良さげに相づちをうった。
…………確かにさっきのは俺らしくなかった。
まさかいきなり教師を敵に回すとは。
誰にも影響せず、誰にも影響されない孤高のぼっち。それが俺のスタンスだったはずだ。
…………転入初日で気が立っていたのかもしれない。
そんな風に自分を戒めていると、女子生徒がまた話し掛けてきた。
「……とにかく、気をつけなね。モロキン、目をつけた生徒にはとことん厳しいからさ」
「……わかった、気をつける」
そうとだけ答えて、前をむく。
話はこれで終わりだと思ったのだが。
「……ねえ、ヒキタニくんってどこから来たの?」
まだ終わらねぇのかよ。流石はリア充、話しが長い。
「……千葉だよ」
最低限の単語で話しをする気はないですよアピールをしてみる。
「……そっか千葉かー。あれだよね、ディスティニーランドとか、幕張メッセとか。あたしも行ってみたいなー」
…………これは単に気づいていないだけなのか、それとも気づいて無視しているのか。
とにかく、女子生徒が話しを畳む気配はなかった。
「……ほら、さっき結局自己紹介できなかったからさ」
「……別に授業中に話さなくていいだろ」
こんどは直接的に言葉にすると、彼女の顔が少し歪んだ。こりゃ、いい感じに嫌われたかな。
そんな風に思ったのだが、どうも違ったらしい。
「……今日、家の手伝いで早退しなきゃでさ」
そう言った時の彼女の表情には目に見えて陰りがさしていて。これ以上は踏み込んではならないと俺の脳内アラートが鳴り響いた。
なんとしても話題を変えようと、雀の涙なコミュ力を総動員する。
だが、解決策は思わぬ方からやって来た。
「おい小西! ちゃんと返事をしろぉ!」
出席をとっていた諸岡ことモロキンである。
「あ、はーい」
女子生徒が、のんびりとした調子で返事を返す。凄いな、俺ならいきなり声を掛けられた
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