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やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
誰がどう見ても、諸岡金次郎は小物である。
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しずしずと朝食をとり、二人して八十神高校に向かった。

…………仕方ないとはいえ、小町の入学式を見逃すこととなったのは兄として一生の不覚である。





担任である諸岡とともに3-Bの教室に入る。
途端に集まる好機の視線。気分の悪さに脂汗が滲む。
当然というべきか、教室内はざわめいていた。

「あれか、転校生」

「なーんか暗そう」

「あー分かるわーそれ」

「でも、可哀想だよな。いきなりモロ組って」

「諸岡ねー。それを言ったらアタシらもっしょ」

「目ぇ着けられたらリアルに停学とかくらうもんねー」

意外にも覚悟したほど注目を集めている訳ではなさそうだった。諸岡さんバンザイ!

「静まれー!」

額に目に見えそうなほどの青筋をたてて諸岡が叫ぶ。それに反応して、ざわめきが極小化した。
ふん、と諸岡はご満悦の様子だが、これは多分あれだろう。別に諸岡の威厳の為せる技とかじゃなくて、単純に逆らうと後々面倒だということを生徒が経験則で知っているだけだろう。
かくいう俺も、登校直後に眼つきの悲惨さについて三十分ほど説教されたからわかる。
つーか悲惨さって。せめて目つきの悪さとかだろ。大体目つきなんていう生まれつきのもんを、今更どう矯正しろというんだ。
因みに留めるのを忘れた学ランのボタンはおとがめ無しだった。

俺が罵詈雑言の嵐を思い出してうへぇとなったいると、諸岡がこちらを指してきた。

「今日は誠に遺憾ながら転校生を紹介する。おい比企谷、自己紹介しろ」

「はぁ…………」

別に俺が自己紹介しなくてもあんたが名前言っちゃってんじゃん、なんて思いつつも、真面目に自己紹介しようとすると。

「おい貴様!」

「ひゃ、ひゃい!?」

いきなり大声出すなよ。きょどっちまったろうが。

「貴様、今窓際二列目前から三人目の女子生徒に妙な視線を送ったろう!」

「はい?」

なんでそんなに細かいんだよ。確かにその辺見たけどさ。

「よく覚えておけ、ここは今まで貴様が暮らしていた胡乱な都会とは違うのだ! 大体、最近の奴らは…………」

ああ、こりゃ嫌われるわ。
最近の若いもんは…………とか言った時点でアウト。面倒な奴ランキングで上位にランクインする、自分の子供の頃を基準に物事を判断しちゃうタイプの人だ。

まあ、その言葉がなくても俺が嫌いなタイプだということに変わりはない。

諸岡のような威張り散らすやつは、大まかに二タイプに分類できる。
第一に、本当に力を持つが故の自信に溢れちまったタイプ。
こちらはなかなか珍しい。
元クラスメイトの三浦のように、絶対的な勝ち
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