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やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
誰がどう見ても、諸岡金次郎は小物である。
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…………知らない地面だ。


有名なセリフに倣えず天井じゃないのは、周囲を覆う霧があまりに深く、そもそも天井があるのかもわからないからだ。

どこだ、ここ。
そんな月並みな感想。だが、心は不思議と落ち着いていた。下手をすれば自分の手足すら見えなくなりそうな霧は、むしろ心地よくさえ感じる。

というか、確か俺は堂島さんの家に着いたあと、夕飯を食って布団に直行した筈なんだが。
…………夢か。夢だな。
そう結論づけた時だった。

ーーーーやあ。

それはまるで包みこんでくるような声だった。
霧のせいかはわからないが、声の出処が特定できない。更には中性的な、もっと正確に表すのならば和音のようにハモって聞こえるその声は、霧の向こうの人間をイメージさせない。

ーー君は、真実が欲しいかい?

はっ。
何を言い出すかと思えば、真実ときたか。

俺の苦笑に反応してか、空気が微かに震える。

俺の夢のくせに、俺のことを全く分かっていないな。
真実なぞくだらない。

例えば、アイドル。
世間的に見目麗しく、性格も良いと定義されている彼女たちは、それ故素顔を知りたいと願う者は多いだろう。

だが実際はどうなのだろうか。

容姿の良し悪しなんて個人の主観によるところが大きいし、現実に会ってみたら大した事なかったー、何てことも多々あるだろう。
そもそも、テレビに映るアイドルがそのまま素の表情だなんて誰もわからないのである。というか、むしろどんなアイドルだって多かれ少なかれキャラ作りをするものだろう。
テレビの中では童顔天然系キャラで売っているアイドルが、実は飲んだくれのヘビースモーカーだったなんて可能性もあるのだ。
そんなもん、夢の欠片もありゃしない。

真実がいつもこちらの期待に応えてくれるとは限らない。むしろ、いつも裏切られてばかりだ。

真実は残酷で、嘘は優しい。

嘘と欺瞞で我が身を押し殺すリア充どもが世の中を席巻しているのが、何よりの証拠ではないか。
そして彼らは自分達が正しいとばかりに街を闊歩する。
本物の正しさなど、そこには無いというのに。

なら、この世界における正しさの基準がそもそもまちがっているというのなら。
俺は真実なんて求めない。

なにも、求めるものが真実である必要などないのだから。

ーーへえ。

くすりという微かな笑いが聴こえた。

ーー追ってくるのはどんな人かと思っていたんだけど。そっか、そういうふうに思うんだ。

追ってくる…………?

ーーうん、君は確かに何かを追っていたよ。それで、てっきりこっちを追っ
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