第41局
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ならプロ試験合格すると思ってたんだけど、今日みたいな碁を打つんならだめだよ。私、こんな碁じゃ明日美をプロとして認められないよ。明日美、私勝つよ。
奈瀬対佐々木、佐々木の5目半勝ち。
本田対真柴、真柴の2目半勝ち。
伊角対片桐、片桐の半目勝ち。
辻岡対金田、辻岡の3目半勝ち。
プロ棋士採用試験合格者。塔矢アキラ、辻岡忠男、真柴充。
−うわー、俺合格しちゃったよ……。なんか信じられねー……。だって俺、塔矢に辻岡さんに、奈瀬にも伊角にも飯島にも負けてんだぜ。奈瀬と伊角さんには完全に負かされたってのに、何であっちが落ちて俺が合格なんだよ、おかしいだろ、これ。え、マジで?マジで俺がプロ?絶対最後プレーオフで落ちると思ってたのに……。え、俺プロでやって行けんの?
周囲の院生仲間に合格を祝福されつつも、真柴の内心は混乱でいっぱいだった。
プロ試験が終わり、ヒカル達の勉強会が再開された。
結果を知ったヒカルは、当初勉強会の開催をためらっていた。何せ、アキラが合格して奈瀬は落ちているのだ。きっとお互い気まずいだろうと。
アキラも遠慮していた。やはり、奈瀬と顔を会わせにくかったのだろう。ヒカルと打ちたい気持ちを押し殺し、当初はアキラ抜きで別の場所での勉強会でもかまわないと話しをしていた。
しかし、結局勉強会は今まで通り塔矢家にて行われることとなった。誰よりも、奈瀬がそれを希望した。
そして、久しぶりの勉強会。緒方プロも参加し、勉強会が開かれた。
「まずは塔矢、学校でも言ったけど、プロ試験合格おめでとうな。そして、奈瀬はお疲れ様」
「ありがとう、進藤。奈瀬さんは残念だったね」
「……うん。ヒカル君、塔矢君、あかりちゃん、せっかく私を鍛えてくれたのにごめんね。合格できませんでした」
「奈瀬さん、残念だったね。今日は、だめだった碁の検討からする?」
「あのね、あかりちゃん、塔矢君との碁は検討したいけど、他の碁はもう検討済なの。後で自分で打ち直したら、すぐに分かったミスばっかりだったの。何であんな手を打ったんだろうって、そんなのばっかり。自分でもすっごく不甲斐ない結果だった」
涙ぐみながらも、しっかりと言葉を続ける奈瀬。普段の様子とはまったく異なる奈瀬の表情に思わず動揺するアキラ。
「そうなんだ……」
−彼女はかなり悔しい思いをしたようですね。
−そうだな、佐為。ま、プロの先輩として、何とかアドバイスしてみるよ。
「奈瀬さんは、試験に落ちたのは何が悪かったと思ってるの?」
ヒカルは奈瀬の態度に動揺することなく静かに問いかけた。ヒカルの落ち着いた言葉に、奈瀬は指先でにじんだ涙をぬぐった。
「……うーん。正直自分じゃ分からないのよ
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