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独裁政権
第三章
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第三章

 シュツットガルトは己の机の上でそれ等の食べ物を腹の中に入れるとそのまま仕事に戻った。そうして明け方まで仕事に専念しそれから少しソファーで眠り少ししてから起こされまた仕事に戻る。そうした生活を続けていた。家族に会うことは少なく仕事漬けだった。だが彼はそれを苦にしてはいなかった。
 彼の指導の結果でこの国はさらに豊かになった。国民所得は鰻登りであり外貨準備高も増え農業も観光も順調だった。工業は発達し輸出することすらできるようになった。だがそれでも外国からの批判は相変わらずで国内には不穏分子が蠢き続けていた。しかしであった。
「シュツットガルト!シュツットガルト!」
「我等の指導者!」
 国民は彼を熱狂的に支持していた。それは政権に就いた時から同じだった。
 彼はクーデターが落ち着くとすぐに選挙を行っていた。解散させていた議会の選挙と己自身の大統領への選挙だ。その選挙では彼が指導する政党と彼自身は圧倒的な指示を得て上下両院の圧倒的多数と彼の大統領就任を決定させた。そのうえであらたに憲法を発布しもしたりしている。
 これは国民が選んだことだった。彼等はシュツットガルトを選びそれからの幾度かの大統領選挙でも彼を選び続けている。しかし外国勢力や不穏分子、とりわけ隣国は彼のこの選挙をこう批判するのだった。
「自作自演の選挙だ」
「信任投票ですらない」
 こうである。
「対立候補がいてもそれは弱い」
「あのまま終身政権を確立させるつもりだ」
「やはり独裁者だ」
 こうである。しかしこういった批判に対する彼の態度は変わらなかった。
「だが国民は私を支持している」
 彼は断言していた。
「それは何故か。私が正しいからだ」
「そういえば私も国民から人気があるようです」
 今では軍服から背広になり秘密警察のトップから内相になっているリンデンバーグが述べた。
「どういうわけか」
「簡単だ。国民の為に働いているからだ」
 シュツットガルトもまた背広になっていた。もう軍服を着てはいない。しかしそれでも彼等は軍人だと言われるから奇妙だ。既に軍人としての階級もないというのにだ。
「だからだ」
「だからですか」
「君は一般国民を害してはいない」
「私が興味があるのは不穏分子だけです」
 リンデンバーグも自ら断言する。
「他の国民には何の興味もありません。むしろ」
「むしろ?」
「その安全を守らなければなりません」
 リンデンバーグの声が強いものになった。
「何としても」
「だからだ。だからこそ君は国民に人気がある」
 シュツットガルトは言った。
「安全を守っているからな、彼等の」
「それで人気が出るというのはやはり嬉しいことではありますが」
「しかし人気があるなしでやるものではない」
 シュツットガルト
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